自然農法におけるイネ品種の生長と根面および根内の窒素固定菌の動態
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概要
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本研究は, 自然農法および対照の慣行農法水田における在来系統を含むイネ4品種の生育と根面および根内の窒素固定菌の動態との関係について解析した.その結果, 自然および慣行農法における, イネ品種の生育にともなう根面および根内の窒素固定菌の推移は, イネ植物体の窒素含量増加および乾物重増加の推移と密接な関係があった.すなわち, 生育初期(移植-最高分げつ)に窒素固定菌が多くなる品種は生育初期での窒素含量増加率および乾物重増加率が高く, 生育後期(出穂-登熱)に窒素固定菌が多くなる品種は生育後期での窒素含量増加率および乾物重増加率が高くなる傾向を示した.また, 全体的に, 自然農法におけるイネ品種の窒素固定菌数が慣行農法より多い傾向が認められた.特に, 自然農法において, 生育後期に相対的に窒素固定菌数が多くなる品種は, 慣行農法と同程度の籾収量が得られたことは注目に値する.このことは, 自然農法でより高い収量性を確保するためには, 生育後期に窒素固定菌数が多くなるタイプの品種を採用することが有効であることを示唆している.本研究で用いた日本在来系統であるJ195は, 自然農法における生育後期の窒素固定菌数が多く, 収量も高かったことから, 自然農法あるいはこれに類する持続可能型農業で高収量を得る品種育成の有用な育種材料になり得ることが示唆された.
- 2001-03-01
著者
-
浅井 辰夫
静岡大学農学部附属地域フィールド科学教育研究センター
-
仁王 以智夫
静岡大学農学部:東京農業大学総合研究所
-
仁王 以智夫
静岡大・農
-
小杉 明子
静岡大学農学部
-
浅井 辰夫
静岡大農
-
中井 弘和
静岡大学農学部
-
平野 清
岐阜大学大学院連合農学研究科
-
杉山 智子
静岡大学農学部
-
中井 弘和
千葉大自然科学
-
中井 弘和
静岡大農
-
平野 清
静岡大農
-
仁王 以智夫
静岡大学農学部:(現)財団法人微生物応用技術研究所
-
浅井 辰夫
静岡大学農学部
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