衰退・非衰退林分におけるエゾマツ根の微生物相の比較
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概要
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近年北海道においては,主要な木材資源であるエゾマツの衰弱が問題とされるようになっている。本研究では,エゾマツの衰弱が根の微生物相とどのような関わりがあるかについて検討を行った。東京大学農学部付属北海道演習林(北海道富良野市)のエゾマツを主体とする天然林のうち,衰退の目だつ林分から健全木を選び,細根を採取してその根に生息する微生物の数を測定し,さらに細菌についてその種類を検討した。対照として,健全林分中の健全木についても同様の検討を行った。衰退林分中のエゾマツ根の全細菌及び放線菌数は健全林分からの数に比べて平均して3倍ほど多かった。これに対し,窒素固定菌数は衰退林分からの根では顕著に少なかった。各資料から細菌に単離し,その種構成を検討した。健全林分からの細菌種は多様なのに対し,衰退林分からの細菌は特定の群が多い傾向があった。これらのことから,樹木が外見上健全であっても,衰退林分のエゾマツの根にはすでにその微生物相に著しい変化が生じていることが分かった。
- 森林立地学会の論文
- 1994-08-31
著者
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仁王 以智夫
静岡大学農学部:東京農業大学総合研究所
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仁王 以智夫
静岡大・農
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最美 あかね
静岡大学農学部
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仁王 以智夫
静岡大 農
-
仁王 以智夫
静岡大学農学部:(現)財団法人微生物応用技術研究所
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