オオムギプロトプラストに由来する植物体の後代における農業形質
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概要
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これまでオオムギでは,プロトプラストに由来する植物体およびその後代の培養変異に関する報告はなされていない。そこで本研究では,オオムギプロトプラスト由来植物体の後代を用いて,農業形質に関する培養変異の調査を行った。品種IgriとDissaのプロトプラストより得られた植物体再生当代(Pt_1世代)の種子を播種し,幼苗期における形態異常を調査したが,半数以上が正常な形態を示した(Tab1e 2)。これらのPt_2個体を圃場にて育成し,農業形質を調査した(Table 3)。その結果,コントロールの植物体に比べ,稈長・穂長は短くなり,出穂期は遅くなる傾向がみられた。また,Pt_1世代では低かった稔性(Tab1e 1)は,Pt_2世代では回復していた。さらにPt_3世代の農業形質を調査したが,Pt_2世代と同様の傾向がみられた。これらの結果から,オオムギプロトプラスト再生系より得られた植物体中に,特定の農業形質に影響を与える培養変異が生じていることが示唆された。プロトプラストを用いて作出された形質転換オオムギを育種プログラムに組み込む場合,本実験において観察されたこれらの培養変異が何らかの障害になる可能性があるので,できる限り培養変異の発生を抑制するプロトプラスト培養系を確立する必要があると考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1998-03-01
著者
-
伊藤 一敏
サッポロビール(株)価値創造フロンティア研究所
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木原 誠
サッポロビール植工研
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Kihara M
Plant Bioengineering Research Laboratories Sapporo Breweries Ltd.
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高橋 進
サッポロビール(株)植物開発研究所
-
船附 秀行
サッポロビール(株)植物工学研究所:(現)北海道農業試験場
-
Funatsuki Hideyuki
Plant Bioengineering Research Laboratories Sapporo Breweries Ltd.
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伊藤 一敏
サッポロビール植工研
-
高橋 進
Yamagata Univ. Yamagata Jpn
-
木原 誠
サッポロビール(株)バイオ研究開発部麦育種開発センター
-
高橋 進
サッポロビール(株)植物工学研究所:(現)サッポロビール(株)札幌工場
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