イネ菊培養再分化当代の倍数性レベルの簡易同定法
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概要
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イネの箱培養による再分化個体には,半数体の他に二倍体や三倍体等の倍数性個体も得られる.実際の育種の現場では,この半数体が倍加した二倍体が重要であり,コルヒチン処理等による倍加率の向上が課題となっている.そのため再分化個体における倍数性の発現頻度は重要な調査項目となっており,また半数体と二倍体の区別は倍加処理をする上での第!段階となる.倍数性の同定を行うには染色体の観察が正確であるが,手間と労力および細胞学的技術を要することから,イネについては一般に,稔性,草丈,穂の形態等の総合評価で行われている.しかし再分化当代の個体にはSomaclonal variationの他に,生理障害等のEpigeneticvariationが発現し,その評価を難しくしている.特に稔性については冬期の温室栽培であるため,不稔個体が多くみられ同定は不可能である.そこで再分化当代においても倍数性の簡易同定を可能とする同定法の探索のため実験を行った.イネ品種日本晴の菊培養(二段階法)によって得られた再分化個体386個体について,草丈,穂長,穎花長を測定した(Fig,la)測定は全て主神について行った.穎花長は無作為にとった1O個の穎花の平均であり,芒があるものについては芒を切除した.草丈および穂長では,明らかに半数体と二倍体からなると推定される二つの集団が形成されたが,互いの集団が重なり合い連続的分布を示したため,半数体と二倍体をはっきりと二分することはできなかった.しかし,穎花長の測定においては,最頻値を4.8〜5.0mmと7.2〜7.4mmにもつ大きな二つの集団と,その上方に小さな集団が形成された.それぞれの集団について,任意にとった個体の根端の染色体観察を行ったところ(Fig.2),それぞれの集団が半数体,二倍体,三倍体からなることが確認できた.同様な実験を再分化培地置床翌日にガンマー線照射をして得られた77個体についても行った(Fig.lb).草丈および穂長では,照射による生理障害を受けその頻度分布にゆがみを生じた.またその程度は二倍体より半数体で大きかった.しかし穎花長においてはそのような影響はほとんど見られず,安定的な倍数性の同定が可能であった.以上のことより,イネ箱培養再分化個体当代の倍数性の同定法として,その簡便さと安定性から穎花長測定が有効である
- 日本育種学会の論文
- 1994-03-01
著者
-
服部 一三
名大院 生命農学研究科
-
服部 一三
名大農
-
服部 一三
名古屋大学大学院・生命農学研究科
-
服部 一三
名古屋大学
-
中村 和弘
名古屋大学農学部
-
Hattori Kazumi
名古屋大学農学部
-
鈴木 克明
名古屋大学農学部
-
蓬辰 雄三
名古屋大学農学部
-
Narciso J
Nagoya Univ. Nagoya Jpn
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