Ethylene imineによるイネの突然変異誘起に関する研究 : II.種子感受性の品種間差異の要因
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概要
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前報(西村,蓬原1972)で報告したイネ乾燥種子におけるEthylene imine(以下EI)感受性の顕著な品種問差異に着目して,その要因を探った。EI感受性の高い品種としてササシグレ,中程度の品種として秋晴,低い品種としてCentury Patna,Te-Tepの主として4品種を用いて実験を行なった。その結果,EI感受性の高い品種ほど種子の初期吸水量が高く,品種間でEI処理時の薬剤吸収量に差異をもたらしているものと考えられた。また,発芽速度の速い品種ほどEI感受性が高い傾向が認められ,種子浸漬後,発芽のための物質代謝をより早く開始する品種ではEIによる生理障害をより大きく受けることが推定された。 さらに,水浸漬後の種子処理の結果,浸漬時間の違いによっていずれの品種もEI感受性が大きく変化し,その品種間差異も浸漬後の各時点で変化することがわかった。すなわち,乾燥種子で見られた顕著な品種間差異は,種子浸漬後24時間目までに,日本稲品種の感受性喪失によってほとんど見られなくなり,それ以後はどの品種も感受性を増大し,浸漬後48〜72時間で感受性の極大を示した。この過程で,感受性の品種間差異は,乾燥種子の場合ほど顕著ではなく,また,日本稲品種よりインド稲品種の方が感受性が高くなった。 このような水浸漬後の種子の感受性変動曲線から,EIのイネ種子に対する作用性が明らかにされるものと考えられ,この点について論議を行なった。
- 日本育種学会の論文
- 1975-06-30
著者
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