水稲における穂形成に関する遺伝学的研究 : I.穂密度構成要素の分析
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概要
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水稲の穂密度に関する基礎資料を得るために,穂密度と密接に関連していると考えられた17形質について1主成分分析を行った。供試材料は疎穂9,密穂6および正常3,合計18品種および系統である。主成分分析の結果,第一主成分は穎花数,二次枝梗数など主として数に関与する因子で,また第二主成分は.穂軸長,一次枝梗長など長さに関与する因子と考えられた。この第一主成分から算出Lた各品種および系統のスコアーと穂密度との問には高い相関が認められた。一方,疎穂型品種および系統のみを用いて行った主成分分析では,第一主成分は数および長さに関与する因子で,また第二主成分は主として一次枝梗の分化と発育に関与する因子と考えられた。また密穂型品種および系統についての主成分分析では,それぞれ第一主成分は主として各器官の長さに関与する因子で,第二主成分は頴化数や二次枝梗数に関与する因子,第三主成分は一穂当りの二次枝梗総数に関与する因子と考えられた。18品種および系統について第一,第二主成分の変異性にもとづき,供試18品種および系統を穂密度の変異パターンから7つの型に群別することができた。穂密度との相関は計測した17形質中,14形質では有意であったが,穎総数と穂密度の相関は有意でなかった。以上の結果から,疎穂,密穂遺伝子は一般に穂密度に関与する形質に多様な効果をもち,これらの形質間の相関関係に大きな作用を及ぼすものと考えられた。
- 日本育種学会の論文
- 1980-12-01
著者
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