水稲における密・疎穂に関する遺伝学的研究I.疎穂稲における形質発現と遺伝
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
水稲における穂形成の遺伝的機構に関する基礎資料を得ることを目的とし,疎穂の形質発現とその遺伝様式について実験を行った。材料として,穂密度を異にする8疎穂品種および系統と比較品種として正常な穂密度をもつ3品種を供試した。穂密度は次の3つの方法によって測定した。1)穎花数/穂軸長十一次枝梗長,2)穎花数/穂長,3)二次枝便数/一次枝便数。その結果,穂密度は穎花数や穂長のみでなく,一次,二次枝梗の数および長さとも密接に関連していることが認められた。品種や系統によって疎徳化の原因を異にし,フジミノリ疎穂突然変異系統では穎花数および一次,二次枝便数の減少が,Rantai-emas,密陽25号では一次枝梗長の増大が疎徳化をもたらしている。一方,紫粗粒稲,粗粒稲では穎花数は少ないが,極めて多くの小穂退化痕跡を認めることができるので,疎徳化の主因は小穂の分化直後その発育が抑制されることによると考えられた。また綾畦遺伝子の多面作用としての疎徳化も認められた。粗粒稲における穎花形成は温度に対して敏感に反応し,低温処理(夜温18℃,昼温23℃)により内外穎退化,長講穎,葉状穎,多雌ずいたどの各種の崎型穎花が多発し,極端な場合には枝梗は形成されるが・穎花は全く欠如する場合が認められた。粗粒稲×秋礒嬢性突然変異系統のF_2における正常型:疎穂型:酸性型:疎穂・嬢性型の分離比は38:21:17:6で,酸性,疎穂ともに卑劣性変異で両遺伝子問に連鎖関係は認め難かった(X^2=3.79,P=0.50〜0.20),この両遺伝子が共存した場合,嬢性遺伝子単独の場合にくらべて,程長,穂長の伸長が促進し,二次枝便数が増加する傾向が認められ,両遺伝子間にこれらの形質発現に関して相互作用の存在することが推定された
- 1979-06-01
著者
-
三位 正洋
千葉大院園芸学研究科
-
三位 正洋
千葉大
-
蓬原 雄三
名城大学農学部
-
北野 英巳
愛知教育大学生物学教室
-
蓬原 雄三
名古屋大学農学部
-
北野 英巳
名古屋大学
-
近藤 貞昭
名古屋大学農学部
-
三位 正洋
現千葉大学園芸学部
関連論文
- 非共生培養によるハクサンチドリ完熟種子の発芽とプロトコーム形成
- コチョウランのembryogenic callusを用いたアグロバクテリウムによる形質転換法の改良
- 発芽直後の実生を用いたアグロバクテリウムによるコチョウランの形質転換法
- コチョウラン培養細胞における2,4-D処理による核DNA量の倍数化
- ファレノプシスの培養変異について--クローン技術の限界 (花特集 洋ラン生産技術の最前線)
- Agrobacterium rhizogenes によるアンゲロニア(Angelonia salicariifolia)形質転換体の作出
- カーネーション, ハマナデシコおよびイセナデシコ間における交雑和合性と雑種の稔性
- ラン科植物における遠縁交雑に関する研究 : 1. ニオイエビネとシランの属間雑種の作出
- 古典園芸植物ツワブキの特性評価と保全、育種に関する研究 : (第3報)ツワブキ園芸品種の細胞遺伝学的研究
- 古典園芸植物ツワブキの特性評価と保全、育種に関する研究 : (第2報)ツワブキ園芸品種の人為分類と核DNA量
- 古典園芸植物ツワブキ--歴史と現存品種
- ツワブキの核型に関する新知見
- ダイズにおける毛状根の誘導とその利用の可能性
- P-18 セイヨウミヤコグサ毛状根からの根出芽による個体再生とその組織学的観察
- 植物成長調整物質が中国雲南省産 Lysionotus pauciflorus Maxim. の葉片からのカルス誘導及び植物体再分化に及ぼす影響
- ミスミソウ属(キンポウゲ科)の核DNA量について
- 3倍体センノウの微細繁殖及び繁殖個体の特徴
- Hepatica (キンポウゲ科)の核DNA量
- 花き育種分野における細胞工学的技術の展開
- シンビジウムにおけるアグロバクテリウム法によるプロトコーム状球体の形質転換
- メロペネムおよびモキサラクタムはアグロバクテリウム法によるタバコの形質転換効率を向上させる
- 日本に現存するセンノウの倍数性
- Asparagus茎組織からのカルス誘導時におけるpolysomaty patternの変化
- Agrobacterium tumefaciens法によるスターチス(Limonium sinuatum Mill.)の形質転換
- シラン(Bletilla striata)未熟胚のガラス化法による超低温保存
- 3倍体センノウの試験管内保存
- 酵素液中に添加したチオ硫酸銀(STS)によるシンテッポウユリのプロトプラストの分裂率の向上
- アスパラガス(Asparagus officinalis L.)の小胞子プロトプラストの単離・培養
- 数品種のブドウにおける体細胞胚培養系の誘導
- ナデシコ属植物のプロトプラストからの植物体再生に及ぼすプロトプラスト単離組織の影響
- カーネーションとカスミソウの細胞融合による雑種カルスおよび不定根形成
- リョクトウ(Vigna radiata (L.) Wilczek) 子葉培養のカルス誘導と植物体再分化におよぼす種子の前処理と異なった光強度の影響
- アグロバクテリウム法によるアガパンサス形質転換体の作出
- ペチュニアと近縁属の遺伝資源解析(第31報) : 広義のペチュニア属53分類群の核DNA量
- アグロバクテリウム法による植物形質転換に最適なベータラクタム系抗生物質の評価
- 高い抗アグロバクテリウム活性をもつベータラクタム系抗生物質の探索
- Primula modesta (ユキワリソウ)の変種と P. rosea の種間雑種に見出された倍数性変異
- Primula sieboldii(サクラソウ)とP. obconicaの交配による形成された3倍体性種間雑種
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : V.耐冷性に関する個体選抜および系統選抜の効果
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : IV.耐冷性に関するF_3系統選抜の直接効果および間接的作用
- 放射線による水稲新品種レイメイの育成
- 水稲における肉眼選抜の評価 : I. 肉眼選抜に影響を及ぼす要因の径路係数分析
- 水稲における耐冷性検定方法に関する研究
- (7) 水稲における耐冷性検定方法に関する研究 : 日本育種学会第24回講演会講演要旨 : 一般講演
- 少分げつ稲に関する遺伝学的研究
- 〔l0〕育種家の選抜に関する研究 : 日本育種学会第22回講演会講演要旨 : 一般講演
- 水稲における人為突然変異育種に関する研究 : 第II報放射性^p処理による多収系統"ふ系53号"の育成
- 〔45〕水稲育種における組合せ検定法に関する研究, 第1報初期世代における検定の可能性について : 日本育種学会第20回講演会講演要旨 : 一般講演
- 水稲の耐冷性検定方法に関する研究
- 水稲における耐冷性の遺伝と選抜に関する研究 : I. 耐冷性の遺伝分析
- 水稲の採種条件に関する一実験
- 水稲における人為突然変異育種に関する研究 : 第1報 放射性P-32処理個体の分蘖と突然変異との関係について
- イネの根由来カルス組織からの器官再分化品種間差異
- シクラメン・ロールフシアナムの倍数性
- シンビジウムの核DNA量と倍数性の比較
- フロ-サイトメトリ-自由自在-8-FACSの細胞生物学への応用(3)植物研究への応用
- 異なる2種のビート毛状根における増殖とベタレイン含量の変化
- イネにおける矮性突然変異の形質発現 : I.優性突然変異系統,ふ系71号の稈の伸長におよぼす温度の影響
- イネの葉緑素タンパク質複合体の簡易分析法
- Sesbania rostrataにおけるAgrobacterium tumefaciensによる形質転換体の作出
- Crotalaria junceaにおける根粒菌の観戦糸様構造の形成
- バラ属2種における胚形成能を持つカルスを経由した葉片からの植物体再生系
- 胚珠培養によるAlstroemeria light L.hybridとA. pelegrina L.var.rosea間の種間雑種の育成
- 生育時と低温 種子・花粉・球根の低温貯蔵
- サツマイモ品種中国25号の葉切片由来カルスからの高頻度な植物体再生
- ラン科植物エビネ(Calanthe discolor)における次亜鉛素酸ナトリウムならびにポリフェノール吸着剤処理による種子発芽ならびにプロトコーム形成の促進
- 線虫対抗植物ルドベキア(Rudbeckia hirta L.)における毛状根からの植物体の再分化とチオフェンの産生
- 126 センチュウ対抗植物ルドベキアにおける毛状根由来植物の作出とその利用
- 花のバイテク研究の現状と問題
- ラッカセイにおける子葉節からのマルチプルシュートの誘導
- 97 ラッカセイプロトプラストの単離と培養
- 花卉育種とバイオテクノロジ- (花の魅力)
- 142 ラッカセイ子葉節からのマルチプルシュートの誘導
- ラッカセイの細胞,組織,器官培養の現状-2-
- ラッカセイの細胞,組織,器官培養の現状-1-
- ラッカセイ完熟種子からの不定胚誘導
- ネパール産ダイズ諸系統の未熟種子培養におけるShoot形成
- Nicotiana rustica L. の花粉単独培養時の胚形成に及ぼす花蕾の低温処理,葯の前培養処理および生長調節物質の影響
- 水稲における密・疎穂に関する遺伝学的研究I.疎穂稲における形質発現と遺伝
- Glycine 亜属植物の Kunitz トリプシンインヒビター様タンパク質の比較
- ダイズおよび野生ダイズ種子β-アミラーゼの3種電気泳動的特性の関係
- イネにおける矮性突然変異の形質発現 : III. ふ系71号の節間伸長に対するジベレリン酸(GA_3)の影響と内生ジベレリン様物質の存在
- イネにおける矮性突然変異の形質発現 : II. 矮性突然変異系統ふ系71号における節間伸長の温度反応と伸長節間の組織形態学的観察
- 水稲における密・疎穂に関する遺伝学的研究 : III.密穂稲における形質発現と遺伝
- リョクトウ[Vigna radiata (L.) WILCZEK]の組織培養による植物体再生の品種間差異
- チヤの葉芽および花芽の発育におよぼす放射線の影響 : I. 葉芽数および花芽数の変化
- 小麦カルスからの穂形成
- ヨモギ属植物の形態学的研究
- Rice Genetics Cooperative (RGC) の設立並びにイネ遺伝子記号の命名について
- イネの葉緑体蛋白に関する遺伝育種学的研究 : 2.イネの種間および系統間における葉緑体蛋白複合体の電気泳動パターンの差異
- 国際イネ遺伝学シンポジウムに出席して
- Rice Genetics Newsletter(RGN)の発刊とInternational Rice Genetics Symposium(IRGS)の開催のお知らせ(続報)
- Rice Genetics Newsletter(RGN)の発刊と第1回 International Rice Genetics Symposium(IRGS)の開催のお知らせ
- Petunia hybrida と P.parodii との体細胞雑種形成による再分化能の回復
- 矮性遺伝子の遺伝育種学的研究 : 矮性研究グループの動向
- Agrobacterium rhizogenes 野生株によるラッカセイ毛状根の誘導
- ナデシコ属花卉園芸植物の育種におけるバイオテクノロジーの応用
- 水稲の胚発育におよぼす放射線の影響 : I. 照射胚の細胞組織学的観察
- 実用形質の突然変異
- キクの花色突然変異に関する遺伝育種学的研究 : I.花色突然変異における色素のクロマト分析