水稲における密・疎穂に関する遺伝学的研究 : III.密穂稲における形質発現と遺伝

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前報(1979)の疎穂に引続き,本報では密穂の形質発現とその遺伝様式について検討を行った。材料として,穂密度を異にする5密穂品種および系統と比較品種として正常な穂密度をもつ1品種を供試した。穂密度は前報と同様,次の3つの方法によって測定した。1)穎花数ノ穂軸長十一次梗長(第I法),2)穎花数ノ穂長(第ll法),3)二次枝便数/一次枝便数(第lll法)。その結果,穂密度は密穂においても疎穂や正常品種と同様,第I法によって最もよく推定しうることが認められた。密徳化の要因は供試品種および系統によって大きく異なっていた。稗桿稲および秋晴密穂突然変異系統では'一次枝便数の増加と一次枝梗長の減少が,またBallilaでは一次,二次枝便数と穎花数の増加がそれぞれ密穂の主因となっている。供試材料中最も高い密穂を示した近成2号では二次枝便数と穎花数が極めて多かった。一方,愛知21号密穂突然変異系統では一次枝梗長の短縮化が顕著であった。極密穂品種および系統では三次枝梗の発生の認められるものが多かった。2つの密穂突然変異系統では葉状穎,片穎,長講穎および不定根をもつ穎花だとの異常穎花の発生が認められ,さらに稗桿稲でも長講穎を含んでいたことから,密穂遺儘子のたかには異常な穎花形成を誘発する作用をもつものがあることが推定された。
日本育種学会の論文
1979-09-01

水稲における密・疎穂に関する遺伝学的研究 : III.密穂稲における形質発現と遺伝

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