気候変動における巻雲の微物理過程のフィードバック

概要

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巻雲の雲氷量と粒径分布の温度依存性を考慮して、気候変動における巻雲のフィードバック効果を調べた。偏微分の和として定義される敏感度パラメーターを、4ストリームのティスクリート-オーディネイト法とESFT法を用いて作成した高精度の放射コードで計算した。その際、飛行機観測データに基づいて雲氷量と粒径分布を温度でパラメーター化し、これを用いて微物理量の温度依存性を考慮した。雲氷量のフィードバックに関係した偏微分δH/δ[IWC]×δ[IWC]/δTの値は1.3-2.3Wm^<-2>℃^<-1>であり、雲氷量の温度依存性は正のフィードバックを引き起こす。一方、粒径分布に関係した偏微分δH/δ[SD]×δ[SD]/δTの値は-0.1--1.8Wm^<-2>℃^<-1>であり、これは粒径分布の温度依存性によるフィードバックが負であることを意味する。特に巻雲が-45℃付近に存在する場合、雲氷量の正のフィードバックは粒径分布の負のフィードバックによって相殺される。雲氷量のみならず粒径分布の温度依存性が巻雲の微物理過程のフィードバックの評価において重要であることを示した。
社団法人日本気象学会の論文
1993-12-25