太平洋西部熱帯海域における表面海水中の二酸化炭素濃度
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概要
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TOGA COAREプログラムの一環として、1992年10月31日-12月7日の白鳳丸KH-92-5次航海で、太平洋赤道海域の定点(0.0゜N、156.0゜E)における表面海水中の二酸化炭素濃度(pCO_2)を測定した。観測期間中、測定海域は穏やかで、顕著な湧昇流は認められなかった。pCO_2は昼間低く、夜間高くなるような日変化を示した。定点にいた12日間の平均をとると、9時のpCO_2は21時の値より約4.8ppm(標準偏差=4.6ppm)低かった。このようなpCO_2の日変化は、海水中の生物活性の変化が支配しており、二酸化炭素の大気-海洋間の交換による影響は、実際のpCO_2の変化に比べて無視できることがわかった。また、いろいろな深度で採取した試料海水を船室内の温度に保ち、pCO_2の鉛直分布の測定を行った。pCO_2は水面直下(水深約5m)で約330ppm、深度が大きくなるにつれて徐々に低下し、50m付近で極小値(270ppm)を示した。その後、深度が増すにつれてpCO_2は再び高くなり、水深約200mで630ppmに達した。pCO_2の鉛直分布は、白鳳丸KH-92-4次航海(Sagittarius Expedition)で我々の定点近く(0.0°S,150.0゜E)で測定したクロロフイル-aの鉛直分布と対称的であった。クロロフイル-aは海水中の生体量の指標であるから、pCO_2が減少している深度付近で生体量が多く存在していたことを意味している。また、赤道海域における表面海水中のpCO_2は、大気中の二酸化炭素濃度より低く、二酸化炭素が大気から海水中に溶け込んでいることを示した。この結果は、湧昇流が認められず、高い表面海水温度(約30℃)の条件下にある赤道海域も大気中の二酸化炭素の吸収に一定の役割を果たす可能性があることを示唆している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-06-15
著者
-
石田 邦光
鳥羽商船高等専門学校商船学科
-
山下 栄次
岡山理大技術科学研究所
-
大滝 英治
岡山大 環境理工
-
山下 栄次
岡山理科大学技術科学研究所
-
伊藤 はる奈
岡山理科大学大学院理学研究科
-
劉 小虎
岡山大
-
大滝 英冶
岡山大学環境理工学部
-
山下 栄次
岡山埋科大学技術科学研究所
-
劉 小虎
岡山大学大学院自然科学研究科
-
石田 邦光
鳥羽商船高専
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