「なつしま」停船観測時に見られた乾燥西風域について
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概要
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東経156度の赤道上におけるR/V「なつしま」停船観測によるラジオゾンデの観測結果を中心にして、TOGA-COARE集中観測期間中の、1993年2月5日〜14日の「なつしま」上空大気の特徴を調べた。2月6日から9日にかけて高度2〜4km付近に強い乾燥した西風域が存在し、時間と共にその領域が降下し、2月10日に高度2km付近でその存在が不明瞭になる様子が認められた。2月6日から9日の間は活発な対流活動は認められなかったが、2月10日には「なつしま」上空では深い対流が発達した。観測期間の前半には、高度800hPa付近に温度逆転層が形成され、その上空の乾燥した空気塊が対流活動を抑制していた。この空気塊は北東貿易風を起源として赤道域に侵入していることが示された。また、乾燥域の降下の原因として、乾燥域による対流活動の抑制の他に、乾燥域の周囲に存在した活発な対流雲群から生じる沈降流と関係していたことが示された。さらに、対流の発生した2月10日には下層の風向が北西風から西風に変化している様子が示された。この2月10日を境にして下層で見られた風向の変化は対流活動の変動と関係しており、上述の乾燥域の振る舞いとそれに関連する対流活動の変動が赤道太平洋上における数日スケールの大規模な大気変動と深く関係していることが示唆された。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-06-15
著者
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