冬季南西諸島海域における層状雲の雲物理学的性質
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概要
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北西太平洋域"雲・放射"研究計画の総合観測の一環として、南西諸島海域における層状雲の雲物理学的質を観測した。観測は冬季比較的弱い寒気の吹き出しの下で行った。観測した雲は主に層積雲であり、それらの雲厚は0.5〜1.2Kmであった。雲の雲頂附近には常に強い温度の逆転層が観測され、その上空は雲の無い乾いた安定層であった。雲はその内の気温が0℃以上のものばかりだけでなく、0℃以下のもの(最低気温-5℃)も存在した。一方、雲は非降水性の雲であり、雲粒子は主に雲粒から成っていた。雲内の雲物理量は水平的にかなり不均質であり、また鉛直的にも有意な高度変化を示した。雲粒の数濃度は雲の中心附近では高さと共にほぼ一定の濃度を示し、その値は高い雲核濃度の結果として、約500〜800cm^<-3>にも達していた。一方、平均粒径は雲底附近では約3μmであったが、雲頂附近では7μmと増加した。雲水量も、雲粒数濃度の増加よりはむしろ雲粒の成長の結果として、高度と共に増加する傾向を示した。また、雲水量は厚い雲では約1.0g/m^3に達していた。しかし、大部分の雲では、観測された雲水量は雲底附近の空気の断熱過程によって得られる雲水量より小さかった。雲粒の有効半径も、雲底附近で約3μmであったが、雲頂附近では6μm程度に増加していた。南西諸島海域における層積雲の特徴を他の場所で観測された層状雲と比較し、議論する。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-12-25
著者
-
石坂 隆
名古屋大学大気水圏科学研究所
-
鶴田 治雄
東大CCSR
-
鶴田 治雄
農業環境技術研究所
-
石坂 隆
Div. Of General Education Aichi Gakuin Univ.
-
Ishizaka Yutaka
Division Of General Education Aichi Gakuin University
-
石坂 隆
名古屋大学
-
鶴田 治雄
農業環境技術研
-
倉橋 佳伸
名古屋大学大気水圏科学研究所
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