気象研究所大気海洋結合モデルによるCO_2漸増実験 : 速報

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気象研究所で開発された大気海洋結合モデルを用いて、大気中のCO_2を年率1%(複利)で増加させるCO_2漸増実験を行った。モデルの特徴として、第一に、エルニーニョ現象を再現するために低緯度で高い解像度が用いられている点、第二に、観測に近い海氷の分布及び厚さを再現するために改良された海氷モデルが用いられている点があげられる。CO_2濃度が倍増する70年間にわたり積分をおこなった。この間に全球年平均地上気温は1.6℃増加した。CO_2増加に対する大気の応答は南半球及び海洋で遅れがみられた。しかし、北半球高緯度では50年後まであまり大きな地上気温の上昇がみられなかった。二酸化炭素の増加によって引き起こされる北半球高緯度での温暖化のスピードはコントロールラン、漸増ランの両方においてみられた海氷の数十年スケールの変動に影響されていることが示された。更に、海氷中の氷の割れ目(リード)が海氷体積の変動に対して強い負のフィードバック作用を持つことが温暖化に影響を与えることが示唆された。海面水温の変動の解析から、モデルで最も卓越する大気海洋結合モードとして、観測から解析されたものと非常によく似たものがえられた。このモードは、太平洋で卓越し、年々変動に約6年の卓越周期がみられ、これはエルニーニョの典型的時間スケールに近いものである。更に、このモードは数十年スケールでも変動しており、変動が二、三十年間予測可能であることを示唆している。
社団法人日本気象学会の論文
1995-08-25

気象研究所大気海洋結合モデルによるCO_2漸増実験 : 速報

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