マルチ栽培における環境変化と生育 : 第2報土壌水分の変化について

概要

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温度とともに,マルチ下の環境変化として重要な土壌水分についてその実態をしらべるとともに実用的な推定法を検討した。主な結果の概要はつぎのとおりである。1)マルチ条件下の土壌水分の推移は,作物の種類,ステイジ,畦の型,降水の状態によって複雑な様相を示すが,マルチ有無間における降水のとりこみ量と,無降水条件下における土壌水分の乾燥速度の差異から統一的に理解された。すなわち,降水直後は無マルチがマルチより降水のとりこみが良く,無降水条件における乾燥速度は無マルチでマルチよりも大であった。したがって,降水時は無マルチのpFがマルチより低いが,無降水期間の経過とともに乾湿差はなくなって交代期があらわれ,それ以後は乾湿が逆転した。2)畦型の異なる各種の畑作物のマルチ条件下で降水のとりこみ量と乾燥速度を実測し,特定時期の土壌水分は,降水のとりこみと無降水条件下における水の損失量(乾燥速度×無降水日数)とから推定できることを明らかにした。3)マルチ条件下における土壌水分の動向把握から暖地における初期の干ばつ,梅雨期の多雨,盛夏の干ばつについて若干の考察を加えた。
日本作物学会の論文
1976-06-01