半湿田土壌における施肥および土壌無機化窒素の有機化,脱窒および水稲による吸収と堆肥施用量との関係
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概要
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水田土壌中における堆肥施用が施肥窒素の有機化,脱窒,水稲による吸収および土壌無機化窒素の出方とその動態に与える影響について半湿田で検討した結果は次のとおりであった.1)施肥窒素の有機化割合は活着期肥が分けつ期肥および幼穂形成期肥のそれよりかなり大きく1.5〜2倍程度であった.活着期肥および分けつ期肥の有機化割合は堆肥施用により低下する傾向であった.2)施肥窒素の水稲による吸収割合は活着期肥,分けつ期肥,幼穂形成期肥と窒素吸収能力が大きくなるにつれて高くなっていた.それは活着期肥および分けつ期肥で堆肥施用区が若干小さいという傾向であった.3)施肥窒素の水田土壌中での脱窒割合は活着期肥および分けつ期肥では堆肥施用区で大きかったが,幼穂形成期肥では堆肥施用の有無によってはあまり相違がなかった.4)土壌の無機化窒素量は無堆肥区と堆肥1トン区の比較では堆肥1トン区で若干大きかったが,堆肥2および3トンの多量施用区では活着期から分けつ期,幼穂形成期にかけてかえっておさえられ,その時期には無堆肥区のそれの半量程度であったが,幼穂形成期以降は無堆肥区よりやや多く出るようになった.土壌の無機化窒素の有機化量は無堆肥区で大きく,次いで堆肥1トン区,堆肥2トン区および3トン区の順であった.堆肥2および3トン区は無堆肥区の6割程度であった.土壌無機化窒素の水稲による吸収量は堆肥1トン区>無堆肥区>堆肥2および3トン区の順であった.これを各時期別の吸収速度で見ると無堆肥区および堆肥1トン区はkっちゃくきから幼穂形成期にかけて堆肥2および3トン区より大きかったが,幼穂形成期から出穂期にかけては各区ともほとんど同じになり,出穂期以後は堆肥施用の各区が無堆肥区より大きかった.土壌の無機化窒素の脱窒量は無堆肥区と堆肥区1トン区の比較では堆肥1トン区で大きかったが,堆肥2および3トン区は無機化窒素の総量が堆肥1トン区の7割程度であったために,脱窒量無堆肥区よりやや小さいという結果になった.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1985-02-05
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