水稲の再生に及ぼす貯蔵養分量の影響
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概要
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水稲の飼料化栽培, 再生を利用した二期作栽培および農業形質の間接選抜手段としての利用において, 再生は重要な特性である. しかしながら水稲の再生に関する基礎的知見は少なく, 再生に及ぼす貯蔵養分量の影響についても明らかにされていない. そこで本報告では, 稲体の貯蔵養分量を人為的に調節し, 貯蔵養分量が再生に及ぼす影響について検討した. 水稲6品種を供試し, 1/5000aポットで栽培した. 出穂前4日から出穂後10日まで3条件下, すなわち自然光区, 50%自然光区および25%自然光区ヘ移動し, 稲体の貯蔵養分量を調節した. 出穂後10日に地上5cmで地上部を刈取り, ただちに25℃暗黒下へ移動し, その後の再生茎率および再生草丈, ならびに刈取り後40日の再生重を調査した. また地上部刈取り時に稈基を採取し, 稈基重および全炭水化物(TAC)量を調べた. なお株および茎当たりの乾物重により稈基重を, 株および茎当たりのTAC重ならびに乾物重当たりのTAC重によりTAC量をそれぞれ評価した. 再生茎率, 再生草丈および再生重のいずれもは, 自然光区>50%自然光区>25%白然光区の順であった. 再生茎率は遮光強度にかかわりなく刈取り後10〜15日に最大となった. また再生草丈が最大になるまでの日数は25%自然光区でほぼ20日, 自然光区でほぼ30日であった. すなわち遮光強度が弱くなるほど再生草丈は長期間にわたって伸長した. 一方稈基重および稈基に含まれるTAC量は, 白然光区>50%白然光区>25%自然光区の順であり, 遮光強度が強くなるにともなってほぼ直線的に減少した. 再生に関する特性と稈基に関する特性との間に有意な正の相関が認められ, とくに株および茎当たりの稈基重ならびにTA重と再生に関する特性との相関係数は乾物重当たりのTAC重と再生に関する特性とのそれより顕著に高かった. それゆえ再生茎率, 再生草丈および再生重のいずれもは稈基の貯蔵養分量に大いに依存するであろう. さらに稈基重およびTAC重の減少にともなって再生重も減少することから, 稈基の貯蔵養分量が一定量以下になれば再生しないであろう.
- 1983-03-05
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