作物における最大生産力,葉面光合成能力および太陽エネルギー利用効率

概要

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世界各地で極めて好適な条件の下に栽培された場合にえられた各種の作物の短期間の最大CGR,および年間の純生産量と生育日数から求めた平均CGRの高位値を文献から集め,報告された葉面当たりの最大光合成能力(p_0)と比較した. さらに最大CGRの高位値の得られた場合の太陽エネルギー利用効率(Eu)を,JIBP地域班によって得られたEuのデータと黒岩(1968)の式を用いた計算により,同一日射レベルに直して比較した. 得られた結果は次のとおりである. 1) 最大CGRはp_0に対して,C_3種,C_4種にかかわらず,全体として密接な一つの曲線回帰を示し,ニ次回帰で近似した場合,実測値と計算値とは0.1%レベルで有意な相関(0.896)を与えた. 2) 平均CGRとp_0の間にも前者の場合よりは弱いが,同様な回帰が認められた. 3) 最大CGRの高位値に対応するEu値を,一定日射レベル(500ly/day)における値に直して比較すると,一,ニの例外はあるが,一般にC_3種よりC_4種の方が高いことが示された. さらに,補正されたEuとp_0との間には密接な相関(r=0.843,O.1%レベルで有意) が見られ,太陽エネルギー利用効率の種間差もp_0に強く依存することが示唆された.
日本作物学会の論文
1981-06-25