日本における水稲収量の地域差に対する気象条件の役割

概要

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IBPの国際的共通試験の一つとして「地域班」により全国7ヵ所において実施された, 「最大生長率の試験」の1967〜1969年のデータを用い, 気象条件が水稲収量の地域差に対してどのような役割を演ずるかを解析して次のような結諭を得た. 解析は, これまでに集積された水稲の収量成立に関する生理・形態的知見を背景に, 単純相関法を中心にして行なった. 条件のよい圃場において, それぞれの地域によく適応した優良品種を十分な施肥・管理の下に栽培した場合, 玄米収量の地域差のかなりの部分は, 気温・日照時報・日射量・降雨量・空気湿度等の気象条件のうち, 次のような特有な生育時期における4つの気象条件の違いによって説明することができる. すなわち, (i)育生前半期(移植〜出穂期)の日平均気温積算値, ΣT(I), (ii)分げつ期(移植後0〜6週間)の日射量, S(t0/t6), (iii)幼穂の分化・発育期(出穂前6週)間の平均気温, T(-6/0),および(iv)「収量生産期」すなわち出穂前後の7週間(前3週間+後4週間)の日射量の4要因によって説明できるのである.
日本作物学会の論文
1972-12-28