CD2架橋刺激によるSykおよびPl3-kinaseの活性化とNK細胞の顆粒放出能
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
NK細胞は,MHC非拘束性に腫瘍細胞を認識して殺傷することができる.その機構は,CD2やCD16などがNK細胞活性化レセプターを刺激し,NK細胞からパーフォリンやセリンプロテアーゼを含む細胞内顆粒を放出させることによると考えられている.しかし,NK細胞活性化レセプター刺激から顆粒放出に至るシグナル経路についての詳細は未だ不明である.そこで今回われわれは,IL-2依存性ヒトNK様細胞株であるNK3.3細胞を用いて,CD2を介したNK細胞活性化機構とそのシグナル経路について解析を行った.プレートに固相化した抗CD2抗体で4時間NK3.3細胞に架橋刺激を加えたところ,上清中に放出されたBLTE esterase活性が増強していた.チロシンキナーゼ阻害剤であるherbimycinおよびPl3-キナーゼ阻害剤であるwortmanninは,CD2およびCD16架橋刺激による顆粒放出をほぼ完全に抑制した.また,CD2架橋刺激によりp72^<syk>(Syk)のチロシンリン酸化とキナーゼ活性化が著明に増強し,細胞内に多数のチロシンリン酸化タンパクが出現した.さらに,CD2架橋刺激によりチロシンリン酸化タンパクとPl3-キナーゼとの結合量およびキナーゼ活性が共に増強していた.また,CD2架橋刺激によりアダプタータンパクの一つであるShc分子が強くチロシンリン酸化を受け,Shcに結合したPl3-キナーゼの活性も増強していた.以上の結果より,CD2分子はSykチロシンキナーゼの活性化を介して細胞内アダプタータンパクであるShcのチロシンリン酸化を誘導し,さらにShcに結合したPl3-キナーゼが活性化され,細胞内顆粒の放出を引き起こすというシグナル経路が明らかになった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-09-25
著者
関連論文
- セボフルランによるポストコンディショニングは虚血再灌流後の抗アポトーシスシグナル伝達経路を介してカスパーゼ3,9の活性を妨げる
- 1 破骨細胞分化における長時間作用型NO供与体の影響(第519回大阪歯科学会例会)
- 3 単球系細胞のマクロファージ化に伴うosteoprotegerin mRNAの誘導(第516回 大阪歯科学会例会)
- Castleman病とIgG4関連疾患--多クローン性高γ-グロブリン血症からの鑑別 (第5土曜特集 悪性リンパ腫Update) -- (疫学・発症機構)
- 1 老化促進モデルマウス (SAM) の系統維持 (第393回 大阪歯科学会例会)
- 4 大阪歯科大学教職員の口腔内診査結果 (第447回 大阪歯科学会例会)
- H_2O_2耐性HL-60細胞のheat shockによるセラミドの変化とアポトーシス
- スフィンゴミエリン合成活性欠損細胞を用いたスフィンゴミエリン合成酵素遺伝子の発現クローニング
- 3 破骨細胞分化に及ぼすライセニンの影響(第505回 大阪歯科学会例会)
- EMD(エムドゲイン^【○!R】)が骨芽細胞様細胞に及ぼす影響
- Jurkat細胞のβ1インテグリンにおけるSDF-1αの影響
- チロシンキナーゼZAP-70におけるTCR/CD3刺激のβレインテグリンに及ぼす影響
- 1 NK細胞の細胞殺傷機能活性化におけるlipid raftの関与(第492回大阪歯科学会例会)
- ZAP-70欠損 Jurkat 細胞におけるCD3/TCR刺激がβ1-インテグリンに及ぼす影響
- T細胞様株Jurkat細胞におけるSDF-1αが-β1インテグリンに及ぼす影響
- CD2刺激によるNK細胞活性化におけるlipid raftの役割
- C-12-11 : 00 β1-およびβ2-インテグリンを介するPHA刺激T細胞の接着に及ぼすケモカインの影響
- C-5-9 : 40 CD2架橋刺激によるNK細胞活性化シグナルの解析
- NK様細胞株NK3.3細胞の細胞内顆粒放出能および細胞傷害活性に及ぼすMCP-1の効果
- A-5-9 : 30 BrdU細胞標識法を用いた細胞接着機能の解析 : β_1,β_2-インテグリンを介した細胞接着に及ぼすケモカインの影響
- D-28 BrdU細胞標識法を用いた細胞接着機能の解析 : β_1,β_2-インテグリンを介した細胞接着の検討
- D-27 T細胞活性化におけるCD2 costimulatory signal-Sykの活性化とadapter proteinのチロシンリン酸化について
- ヒト炎症歯肉組織中におけるActin mRNA, Telomerase RNAおよびGranzyme mRNAの検出
- O8-004 多発性骨髄腫に対するボルテゾミブ投与スケジュール変更による副作用軽減の試み(一般演題 口頭発表,がん薬物療法,医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- ヒト口唇小唾液腺培養細胞からの唾液腺幹細胞の同定
- リウマチ膠原病診療における抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)の臨床的有用性の検討
- 診断と治療の実際 : 2. 強皮症(全身性硬化症)
- 破骨細胞分化におよぼすライセニンの影響
- 頸髄神経根原発の neurolymphomatosis
- 炎症メディエーター 主なサイトカイン インターフェロンγ (関節リウマチ(第2版)--寛解を目指す治療の新時代) -- (関節リウマチの成因と病態生理)
- IgG4関連疾患 : その診断の混沌, および混沌から抜け出すための提言
- IgG4関連疾患(ミクリッツ病)とシェーグレン症候群--19世紀より続いた2つの病気をめぐる議論,そして今後 (AYUMI IgG4関連疾患--日本発あらたな疾患概念)
- 上顎に発生した横紋筋肉腫の2例
- 下顎骨にみられた多発性骨髄腫の1例 : 共焦点レーザ走査顕微鏡による観察
- Sjogren症候群 (特集 膠原病--病態解明・新規治療の光明) -- (主要疾患における研究動向)
- 話題 Fas誘導アポトーシスにおけるリピッドラフトとスフィンゴミエリンの役割
- 目でみるシリーズ IgG4関連疾患
- 強皮症(全身性硬化症) (特集 膠原病--診断と治療の進歩) -- (診断と治療の実際)
- 膠原病のプライマリ・ケア早期診断と治療指針 シェーグレン症候群 (特集 膠原病診療のA to Z)
- フラクタルカインと炎症性疾患
- "Lipid rafts"細胞活性化のための"脂肪の筏"
- フラクタルカイン
- フラクタルカインの基礎と臨床
- 全身性強皮症 (第1土曜特集 膠原病--診断・治療の進歩) -- (膠原病各疾患の診断と治療のポイント--EBMを中心に)
- 接着性ケモカイン,フラクタルカイン
- B-21-10 : 00 サイクロスポリン服用による歯肉増殖の臨床的, 病理組織学的研究
- 次世代の生物学的製剤(第10回)アレファセプト
- 免疫抑制剤 (特集 一般医に必要なリウマチ診療の知識) -- (関節リウマチの診療のために)
- シェーグレン症候群 (新版 処方計画法) -- (リウマチ・結合織疾患)
- リピッドラフトとアポトーシス
- D-9 全身性強皮症(鞏皮症)を伴った高度歯周炎患者の1症例
- 歯周組織の健康と全身の健康との関連性についての研究 : 歯周組織の健康状態を表す指標の選択について
- 日本からの発信 : 新たな疾患概念, IgG4関連疾患 (IgG4-related disease)
- 骨芽細胞での RANKL mRNA 発現におけるPKCアイソザイムの関与
- 活性型ビタミンD3の刺激によるRANKL発現におけるPKCアイソザイムの関与
- D-17 ニフェジピンによる歯肉増殖発生機序に関する実験的研究 : その3.外傷性咬合の影響について
- D-15 ニフェジピンによる歯肉増殖発生機序に関する実験的研究 : その2 病理組織学的検討
- C-21-9 : 30 ニフェジピンによる歯肉増殖発生機序に関する実験的研究 : その1 血漿濃度の経時的変化
- サイクロスポリンによると考えられる歯肉増殖症の臨床的および病理組織学的研究
- 高コレステロ-ル血症治療と抗酸化 (特集:高コレステロ-ル血症治療の最前線)
- 2 老化促進モデルマウスSAM P-1における胃粘膜防御機構の検討 (第393回 大阪歯科学会例会)
- CD2架橋刺激によるSykおよびPl3-kinaseの活性化とNK細胞の顆粒放出能
- 血圧降下剤(Nifedipine, Diltiazem)服用歯肉増殖に関する臨床的研究
- クリニカル 高齢者歯科治療に必要な内科疾患の知識
- 歯周病におけるγδT細胞の免疫組織化学的研究
- IgG4の機能とIgG4関連疾患の病因 (IgG4関連疾患)
- IgG4関連疾患--新たな疾患概念 (第73回日本血液学会学術集会 教育講演)
- 再発性多発性軟骨炎
- IgG4関連疾患 (ここまでわかった自己免疫疾患) -- (そのほかの自己免疫疾患)
- 21世紀に発見された新たな疾患概念,IgG4関連疾患 : 今日本から発信! (東京都皮膚科医会第14回臨床研究会)
- IgG4関連疾患 : 新たな疾患概念
- 座談会 IgG4関連疾患発見の意義と世界に与えるインパクト (特集 IgG4関連疾患 : 21世紀に生まれた新たな疾患概念)
- IgG4関連腎臓病診療指針
- 1 NK細胞の血管内皮細胞接着能および細胞傷害活性に及ぼすFractalkineの影響 (第466回大阪歯科学会例会)
- NK細胞の血管内皮細胞接着能および細胞障害活性に及ぼすFractalkineの影響
- 医学と医療の最前線 温故知新「IgG4関連疾患」 : その概念と診断基準
- スフィンゴミエリン合成酵素1の血小板に及ぼす影響について
- 温故知新「IgG4関連疾患」 : その概念と診断基準
- 「IgG4関連疾患」 : 21世紀に我が国から発信された疾患概念