NK細胞の血管内皮細胞接着能および細胞障害活性に及ぼすFractalkineの影響
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概要
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Chemokineは白血球の遊走能を増強させるcytokineとして発見されたが,その後遊走能のみならずT細胞,マクロファージやNK細胞を活性化し,慢性炎症性疾患や自己免疫疾患および臓器移植時の拒絶反応などに関与することが明らかになってきた.NK細胞の抗腫瘍細胞殺傷能を利用して,NK細胞とIL-2などのcytokineとの併用による養子免疫療法が試みられているが,重大な副作用として出現する血管内皮細胞傷害に基づくvascular leak syndrome (VLS)が治療上の隘路となっている.今回われわれは,血管内皮細胞上に発現するfractalkineのNK細胞活性に及ぼす影響について検討し,以下の結果を得た.NK細胞は細胞表面上に発現したfractalkine receptorを介して固相化したfractalkineに接着し,また,NK細胞からのBLTE esterase放出量は固相化したfractalkineにより増加しており,脱顆粒の亢進によるNK活性の増強が示唆された.次に,血管内皮細胞株であるECV 304細胞(control-ECV)にfractalkineを遺伝子導入したfractalkine-ECV細胞(fractalkine-ECV)を作製し,NK細胞との接着能および細胞傷害能を検討した.これらの細胞とNK細胞の接着は,control-ECVと比較してfractalkine-ECVで増加しており,また,fractalkine-ECVとの細胞接着増強は抗LFA-1抗体によるブロックに対しては抵抗性であったが,可溶型fractalkineによって有意に低下した.さらに,fractalkine-ECVはcontrol-ECVに比べてNK細胞の細胞傷害に対する感受性が亢進している結果も得た.以上より,fractalkineはNK細胞に対して接着分子として機能すると同時に細胞傷害活性をも増強させることが明らかとなった.炎症局所においては,血管内皮細胞上に発現されたfractalkineによりNK細胞が活性化を受けて血管内皮細胞を傷害している可能性が示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-06-25
著者
-
堂前 尚親
大阪歯科大学内科学講座
-
米田 修
大阪歯科大学内科学講座
-
梅原 久範
大阪歯科大学内科学講座
-
梅原 久範
金沢医科大学病院 血液・リウマチ膠原病科
-
梅原 久範
大阪歯科大学内科
-
堂前 尚親
大阪歯科大学内科
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