イミダクロプリドおよび関連化合物の光安定性に関する量子化学的考察
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概要
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イミダクロプリドと関連化合物の基底状態と励起状態をAM1法やab-initio法で求めた.シングレット励起状(S1)のエネルギー差はニトロメチレン<ニトロイミン<シアノイミンの順序であり, ニトロメチレン誘導体の容易な光分解性を裏づけた.HOMOは主としてイミダゾリジン環上窒素原子を含むグアニジンやアミジン部位に存在し, LUMOはニトロ基やシアノ基まで広がっていることから, 紫外線吸収によりπ電子が供与体から受容体に遷移することがわかった.したがって, イミダゾリジン誘導体より電子供与性のチアゾリジン誘導体が長波長にシフトする.ニトロ基とアミジンあるいはグアニジン部位とはいずれも基底状態では共平面上にあるが, トリプレット励基状態(T1)においてニトロアミジンではニトロ基が共平面から大きくねじれるのに対して, ニトロイミンではほぼ共平面性が保たれるため, T1においても後者の二重結合性が十分に保持されることが予測される.以上のように, HOMO-LUMOのエネルギー差と励基状態での結合強度の差がニトロメチレン, ニトロイミノそしてシアノイミノ基を含むクロロニコチニル系殺虫剤分子の圃場での光安定性を決定している.
- 1997-05-20
著者
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利部 伸三
Department of Chemistry, Faculty of Education, Gifu University
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利部 伸三
Department Of Chemistry Faculty Of Education Gifu University
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赤木 俊夫
Central Research Institute, Pesticide Synthesis Department, Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd.
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利部 伸三
Gifu Univ. Gifu Jpn
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赤木 俊夫
Central Research Institute Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.
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