急性出血性胃病変を含む急性胃潰瘍の成因と対策 (<特集>第13回日消外総会シンポ1 胃潰瘍(急性ならびに慢性)の成因と外科治療)

概要

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近年,急性上部消化管出血の主な原因疾患として,急性出血性胃病変を含む急性胃潰瘍に対して関心が向けられ,数多くの研究がみられる.しかしその成因はいまだ明確ではなく,したがって治療も一定せず,また治療成績も甚だ不良である.一般に急性出血性胃病変,(acute hemorrhagic gastric erosion)および急性胃病変(acute gastric mucosal lesiou, AGML)と呼ばれる変化は中枢神経系の障害(脳卒中,脳外傷など)や重度熱傷,敗血症,ショック,呼吸不全,手術,骨折,心筋硬塞,精神的ストレスなどのストレス状態下,またアルコール摂取,レセルピン,アスピリン,副腎皮質ホルモン剤などの胃粘膜の障害を起こす薬剤等により惹起される.今回,これらの急性胃病変の病態を実験的に熱傷というストレス負荷により再現し,以下の3項目について検索した.(1),ストレス負荷後の消化管における微小循環の経時的変化を形体学的に観察する.変化を測定する.(2),胃・十二指腸の壁内における血流量の変化を測定する.(3),消化管壁,とくに粘膜の抵抗性(防御機構)を粘膜内糖蛋白の消長より観察する.また以上の検索より,本症の病態面よりみた対策を臨床例を含めて,文献的考察を加え報告する.
1979-07-01