急性胃粘膜病変の発生部位と成因背景 (<特集>第19回日消外会総会シンポI 急性胃粘膜病変(AGML))
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概要
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各種stressによる急性胃粘膜病変はstress後比較的短時間内に発生し,病変占居部位も胃体部に多い.成因的にみても,これらの急性病変はショック,外傷,手術後,感染,火傷,肝不全,肺障害,中枢神経損傷などに引き続いて認められ,消炎剤やステロイド使用後などに発生するいわゆるdrug-induced ulcerなどを含めても慢性消化性潰瘍とは異なる.さまざまな成因背景をもつ急性胃粘膜病変の表現は統一されていないのが現状であるが,胃粘膜局所の病理学的変化に関しては,古くはDieulafoy(1898)による報告があり,最近ではMenguyによる急性胃粘膜損傷(AGML)または急性胃粘膜出血(AGMB)などの表現が用いられている.筆者もこれらの報告に習って臨床病態把握を行っているが,いわゆるAGMLの診断は慢性消化性潰瘍以外の重篤な急性胃粘膜出血を内視鏡的に確認して下している.既にわれわれはstress潰瘍の発生時期と発生部位との関係を調べ,"何故stress潰瘍は主として胃体部(胃底腺領域)に発生するのか?"を解析して報告してきた.人にみられるstress潰瘍を大動物に作製するモデルとしてはcinchophenを犬に投与する方法が優れている.cinchophenを大量に系統投与するとコーチゾール,カテコールアミンなどのホルモンが最高値に達する時期に一致して,いわゆる出血や多発性びらんが主として胃体部に発生し,臨床的に認められる各種大手術後などのstress潰瘍と発生機序が酷似している.このモデル急性実験を通じ,臨床例で認められるAGMLの発生背景と発生部位を規制する要因を見出し,治療面での理論的根拠として考察を加えた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1982-10-01
著者
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