気管軟骨の構造特性 : 成長に伴う物理生化学的変化

概要

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気管の機能構造である軟骨の硬さを, 1〜118週齢の家兎, 29羽を用い, 物理生化学的に検討した.Caは15週齢から沈着が始まり, その量は経年的に増加, 29週齢でプラトーに達した.その形態像, 計測病理, Ca量から気管軟骨の組成的な成長時期をprecalcified phase(以下pre-phase), progressive calcifying phase(以下pro-phase), plateau phase(以下pl-phase)に3区分しえた.軟骨の物理的性状は延性破壊に類型を求めクリープメーターで計測, その精度テストで降伏点応力Sと吸収エネルギーEAを軟骨の硬さのパラメータとして用いた.S, EAはpre-, pro-phaseを通じて正相関があり(p<0.001), pl-phaseで増加が停止した.S, EAはCa量と正の相関(p<0.05〜0.0001), 粘液多糖のglycosaminoglycan量, コラーゲンのhydroxyproline量, 水分量とは負相関がみられた(p<0.05〜0.0001).家兎気管軟骨は経年的にCaなど生化学的性状が変化した.S, EAの延性破壊指数の動きは, それら変化とよく一致し, 軟骨の物性的変化の指標と成りうる.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1999-05-15