肺移植におけるドナー肺保存の研究 : カリウムイオンの影響とカリウムチャンネルブロッカーの効果

概要

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家兎47羽の心肺グラフトを用い, 8℃18時間保存後, 自己血潅流モデルでグラフト機能を評価した.フラッシュ液は, [K^+]を0mEq/L(Group 1, 以下, Grpとする)から20mEq/L(Grp5)まで5mEq/Lずつ上昇させた5群と, Grp1とGrp5にK^+チャンネル・ブロッカー:Ba^<2+>を添加した2群を作製した.フラッシュ圧はGrp1〜4群間に有意差なく, Grp5のみ他群と比べて有意に高値を示した(p<0.01)〜0.05).保存後, [K^+]はPAPと正の相関(p<0.01), pO_2とは負の相関(p<0.01)を認めた.PAPの群間F検定でGrp1〜3とGrp4, 5に群分けでき, 前者のフラッシュ効果, 保存後肺機能は後者に比べ有意に良好であった(p<0.01〜0.05).Ba^<2+>の添加で, Grp5と他4群間のフラッシュ圧の有意差が消失し, Grp5+Ba^<2+>はGrp5より有意に良好な保存後肺機能であった(p<0.01〜0.05).内向き整流K^+チャンネルの関与により肺保存液ではnon-potassium液が基本となる可能性が示唆された.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1998-07-15