高齢者におけるBaroreflex sensitivityと心臓血管危険因子について

概要

論文の詳細を見る
【背景】Baroreflex Sensitivity(BRS)は、急激な血圧上昇に対して反射性に副交感神経活動を高め、交感神経活動を減少させる能力の指標である。BRSは、冠動脈疾患患者で低下し、この低下度は、心筋梗塞の既往や左心機能とは関係なく冠動脈硬化度に比例するとされているが、BRSが低下する機序は明らかになっていない。【目的】冠動脈疾患に罹り易い一般高齢者を対象に、BRSが性差、喫煙や飲酒習慣、肥満度、血圧、血清脂質、血球数や血糖値など既知の心臓血管危険因子と関連があるか検討を行った。【方法】対象は、1997年5月から福岡県遠賀郡芦屋町の高齢者人間ドックを受診した96名(男性41名、女性55名、平均年齢66.6±1.6歳)。BRSは、15分間の安静臥床後に1024心拍分のトノメトリーによる連続血圧測定を行い、この間に得られた平均血圧とR-R間隔変動を高速フーリエ変換を用いてクロススペクトル解析して求めた。BRSの性差、BRSと心臓血管危険因子との関係を検討した。【結果】平均BRS値は、女性(8.2±4.6 ms/mmHg)に比べ男性(10.1±5.5 ms/mmHg)の方が有意(P<0.05)に高かった。但し、このBRSの性差は、他の因子を入れて多変量解析を行ったところ消失した。全症例での多変量解析では、BRSは血小板数(b=-0.003±0.001×10^3/μl;β=-0.30)と独立して有意に負の関係を認めた。男女別での多変量解析では、男性では白血球数(b=-0.142±0.052×10^3/μl;β=-0.40)と、女性では血小板数(b=-0.003±0.001×10^3/μl;β=-0.30)とそれぞれ独立してBRSと有意に負の関係を認めた。【結語】高齢者のBRSは、血小板数や白血球数が増えると、抑制される傾向を認めた。今回の検討では、機序は、明らかにできていないが、BRSは、動脈硬化性が認められている血小板や白血球と関連している可能性が示唆される。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

高齢者におけるBaroreflex sensitivityと心臓血管危険因子について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク