東南極オメガ岬の地学的観察
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概要
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第18次南極地域観測隊オメガ岬調査に参加し,次の観察を行った.オメガ岬は,昭和基地付近の他の露岩と同様,氷河作用を受けたいくつかの特徴を有する.過去の氷床はオメガ岬全域を覆っていた.擦痕は異なる方向の2群に分けることができ,これから,過去の氷の流動は,よリ古いSE-NW方向からより新しいESE-WNW方向へ変化したこと,露岩域の風化程度などから,氷からの解放は北部がかなり早く,氷の後退はゆっくりと行われたことが知られる.ただし,露岩上へのモレーン堤の形成はみられない.露岩背後のモレーン堤は,昭和基地付近では最大級であるが,厚くなく,剪断モレーンである.モレーン堤や露岩上の京成堆積物には構造土の発達が顕著である.構造土での地温測定の結果,最低温度も氷点下には下がらなかったが,この時期がたまたま異常高温であったためと考えられる.大陸氷縁辺部での融氷水流も顕著で,流量測定の結果,水流1本で6×10^3t/day以上の値が得られた.
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