昭和基地付近の露岩地域の地形と大陸氷縁辺部の地学的観察
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概要
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昭和基地付近の露岩地域の地形調査と地温測定,および大陸氷縁辺部の消耗量測定を行い,次の結果を得た.過去の氷の流動方向は,現海岸線とほぼ直交するものであったが,氷の流動は必ずしも一様ではなく,ラングホブデ氷河付近では,氷体の上部と下部とが異方向の流動をした可能性がある.昭和基地付近では,氷床がもたらす氷河性堆積物は少量である.日の出岬の隆起汀線は海抜35m以下にみられ,明るい岬の9.5mの隆起汀線からは,7,730±110年B.P.を示す貝化石が得られた.ラングホブデの池の化学分析から,氷床後退後の相対的な地盤上昇は,50m以下であることが示唆される.昭和基地では50cm以浅の地温は,夏季に一度氷点を上回ると,その夏の終りまで氷点下に下がらない.日の出岬背後の大陸氷の夏季の消耗は融解水流による量が46.6×10^3t/km/day,昇華による量が0.14-0.25g/cm^2/dayと測定された.また同地点での氷の流動量は0.5-6m/年(平均2m/年)と測定された.
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