底厚の異なる五種類の鍋材質の昇降温特性
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概要
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底厚の異なる5種類の材質鍋をハロゲンヒーターで加熱し,放冷して温度変化を調べたところ,形状や大きさの異なる鍋間にもかかわらず,鍋材質と底厚の違いを色濃く反映した昇降温挙動が認められ,熱伝導率,比熱,熱容量,熱拡散率などの関連性が示唆された。(1) 鍋底表面の昇温時間,加熱後の降温時間は,すべての鍋材質において底厚が増すに従ってきわめて規則的に増加し,厚手鍋は薄手鍋に比べて昇温時間が2〜5倍も長くかかることがわかった。(2) 炭素鋼,ステンレス鋼,耐熱ガラスは昇温速度が速く,熱伝導率の大きいアルミニウム合金,銅は高温になると次第に昇温速度が低下した。そのため,前者は昇温時間が短く,後者は昇温時間が長くなった。(3) ヒーター外にある鍋底面の昇温速度は,熱拡散率の高いアルミニウム合金,銅が炭素鋼,ステンレス鋼,耐熱ガラスに比べて著しく早く,ヒーター上外の2点における温度差は,アルミニウム合金,銅が炭素鋼,ステンレス鋼,耐熱ガラスに比べて著しく小さかった。(4) 昇降温速度係数は底厚別では昇降温時とも薄手鍋の方が大きく,材質別では昇温時にはステンレス鋼が大きく,降温時には銅が大きかった。
- 日本調理科学会の論文
- 2000-11-20
著者
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