高等学校家庭科の家族・家庭生活領域におけるシナリオ創作の効果的指導 : 生徒による相互評価の分析を通して

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高等学校必修家庭科「家族・家庭生活領域」における生徒の意欲を喚起する手だてとしてシナリオ創作に着目し, その指導効果を高めるための配慮点に関する検討を行った。11グループのシナリオに対する生徒の相互評価を分析した結果, 得られた知見は以下に要約される。1)生徒によるシナリオ創作のグループ間相互評価は, 次の学習への意欲を高める手だてとして効果的であった。2)総合評価に最も影響を及ぼす評価項目は「シナリオ展開のわかりやすさ」であった。教師は, この点をシナリオ創作における指導上のポイントとする必要がある。3)新聞記事をシナリオ創作の資料として利用することは, 社会的関心を喚起する上で効果的であった。教師は, 記事のテーマの明確性がシナリオ展開のわかりやすさにつながることを認識した上で, 記事選択に関する適切なアドバイスを行う必要がある。4)テーマの選び方は総合評価に直接的な影響を及ぼさず, 類似するテーマであっても各々に多様な気づきがみられた。よって, テーマ自体の選び方にはある程度の自由度を確保することが好ましいと考えられる。5)男女による評価の違いに関しては, 女子の方がグループ発表における印象が総合評価に大きく影響する傾向が認められ, 男女共学における評価ウェイトへの配慮の必要性が示唆された。本実践の結果には, 生徒の相互評価の視点, 指導時間数, 評価表の記入など生徒の学力レベルが大きく影響している。例えば, 事前授業を含めたシナリオ創作の配当時間, 相互評価の項目, 新聞記事の利用の仕方, シナリオのわかりやすさへのアドバイスのあり方など, それぞれの高等学校の特殊性に基づいて具体的な検討がなされなければならないであろう。様々な特殊性のもとでの授業実践を重ねていく中で, グループの協力度などに関する評価の扱い, 生徒の意識や家族状況との関連, 学力レベルと指導時間数お上び指導方法との関連などをより明らかにしたいと考える。また, シナリオ創作以前の家族に関する授業の中で, 教師が客観的資料に基づいて家族をいかに取り上げ, シナリオ発表に際していかなるコメントを加えるかなども, 生徒による家族の捉え方や問題解決の方向性に少なからず影響すると考えられる。本実践では, 第1次・第2次の多面的・具体的な検討として第3次「これからの家族とその課題」を位置づけ, 今後の学習への問題意識を高めることに目標をおいたが, 目標設定のあり方に関しても議論の余地がある。この点も含めて今後の検討課題としたい。なお, 本報告は日本家庭科教育学会第38回大会において発表した東北地区共同研究の一部である。
日本家庭科教育学会の論文
1997-04-20

高等学校家庭科の家族・家庭生活領域におけるシナリオ創作の効果的指導 : 生徒による相互評価の分析を通して

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