中学生における家庭生活の価値意識の形成(第1報) : 家庭生活領域履修仁伴う意識の変容を視点として
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概要
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家庭生活領域履修に伴う生徒の家庭生活の価値意識の形成の可能性を探ることを目的とし, 前期履修と後期履修の2つのグループの対比において意識の変容を検討し, 領域指導との関連において考察を試みた。得られた結果は以下に要約される。1)「(1)家族の生活」「(2)家庭の経済」に関する学習は, 家庭生活の価値意識の上位群には, 価値意識の変容をもたらしたが, 下位群には価値意識の変容をもたらしにくく, 学習形態や学習方法上の問題が示唆された。2)「(3)家庭の仕事」「(4)家族の生活と地域との関係」に関する学習は, 価値意識の下位群には, 小学校家庭科を補完する形で効果的な意識の上昇をもたらしていた。3)家庭生活の価値意識の4つのカテゴリーの中で, 外的・知的な価値意識は, 最も不安定であり, 特に上位群に意識の下降をもたらす傾向を示した。以上, 家庭生活領域履修に伴う生徒の家庭生活の価値意識の形成は, 上位群・下位群によってもたらされる効果が異なること, そしてその事実には学習内容および学習方法が影響することが示唆された。とりわけ, 外的・知的な価値意識の不安定に注目することができ, 学習内容や指導法が, 生徒に直接的に与える学習効果と併せて, 家庭生活の価値意識の形成に及ぼす影響を考慮しつつ, 4つのカテゴリーにわたってバランスよく価値意識を高める取り組みを試みる必要があると思われる。同時に, 上位群と下位群の意識変容の表れ方の違いを通し, 学習の新たな評価の方向性として, 関心・意欲・態度の評価における生徒の累積的な行動記録に基づく評価の必要を確認することができたと考える。最後に調査にご協力いただきました岩手大学教育学部附属中学校教諭小笠原洋子氏および生徒の皆さんに深く感謝の意を表します。
- 1997-04-20
著者
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