露地栽培ナスでのミナミキイロアザミウマの総合防除の体系
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概要
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Pyriproxyfen乳剤を8月上旬から9月中旬に露地栽培のナスに散布すると,アザミウマ類の幼虫の発生を抑制でき,この時期の20日間隔での3回以内の散布ではOrius sp.の発生に悪影響はなかった。ミナミキイロアザミウマに対し捕食性天敵Orius sp.とpyriproxyfen乳剤を,ニジュウヤホシテントウの防除にbuprofezin水和剤を用いた総合防除体系区(以下,総合区とする)と殺虫剤を用いミナミキイロアザミウマ,ニジュウヤホシテントウ,カンザワハダニおよびワタアブラムシの防除を実施した慣行の化学的防除体系区(以下,化学区とする)とを設定し,ミナミキイロアザミウマをはじめとする露地栽培ナスの主要害虫の発生と被害を比較した。その結果,Orius sp.の密度は総合区では化学区より高く,ミナミキイロアザミウマ成虫の密度および被害果率は総合区では化学区より低かった。化学区ではミナミキイロアザミウマ成虫の密度が8月中旬から9月上旬に高まり,8月下旬から9月上旬に被害が特に多発したが,総合区ではこの時期の被害も少なかった。ワタアブラムシは総合区で6月に密度が高まった。カンザワハダニは総合区では低密度の発生であったが,化学区では密度が高まったため防除を必要とした。ニジュウヤホシテントウ,チャノホコリダニおよびハスモンヨトウによる被害果の発生は両区ともに少なく,被害果率に区間差はみられなかった。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1991-11-25
著者
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