中年期親の子育て評価と成人初期子どもの健康状態 : リスクケースの早期支援の視点から
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概要
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本研究の目的は中年期の親の子育て評価(ACR)とその子どもの健康状態との関係を検討し、早期支援に役立てることである。 対象は成人初期の子ども198人とかれらの両親-(母親157人、父親121人)であった。これらの対象者は1974〜79年に東京都において日本版デンバ-式発達スクリーニング検査の標準化(JDDST)の対象となり、その後青年期に至るまで縦断的調査を継続してきた者である。 方法はまず親と子どもそれぞれに対して、質問紙法を実施し、その結果からリスク状態にある者を対象として面接法を実施した。子どもに対する質問紙の内容は(1)主訴、(2)主観的健康状態、(3)現在の生活習慣、就職状況、他者からの支援の有無、(4)性役割観、(5)リスク変数10項目、(6)属性などであった。 両親に対しては子育て評価に関する3項目(ACR)を含む質問紙を実施した。分析方法は親の子育て評価に関する3項目(ACR)の中から調査時点における中年期の親の評価、即ち"子どもが思い通りに育ったか否か"に注目し、まず肯定群と否定群に分類した。さらに、父親と母親の組合せによって4群を構成し、これら4群と両親および子どもの健康状態との関連を検討した。 結果と考察 ; 成人初期の子ども及び両親の健康状態は両親の ACR と関係していた。特に両親が ACR に否定的であった群は他の群に比べて子どもだけでなく父親も健康状態不良の傾向にあった。また、父親が肯定的で母親が否定的群は成人初期の子どもの性同一視とに関係が認められた。これらの結果は1)簡単な質問項目ACRによって親子関係及び成人初期にリスク状態にある者をみいだし、早期支援に役立つこと、2)子育てには父母双方が子どもの健康状態や価値観の形成に深く関与していることを示唆している。
- 沖縄県立看護大学の論文
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