『与兵衛おかめ ひぢりめん卯月の紅葉』の世界
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概要
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『与兵衛おかめ ひぢりめん卯月の紅葉』は宝永三(一七〇六)年竹本座初演で上演された。世話物の最初の作品『曽根崎心中』は観客に好評であったので、『卯月の紅葉』は『曽根崎心中』を踏襲し、構成を如何に変えるかに近松の創作意図があった。主題は作者の思想・観念が根底になるものであって、短期間で大きな変化がなされるものではない。従って『卯月の紅葉』は世話物四作目であるので、『曽根崎心中』とはば同じような主題である。与兵衛お亀の愛を中心とした時代思想との相克である。『卯月の紅葉』の特殊性は構成にある。構成を考える場合大切な事は事件の真実である。この事件の真相を伝えるものは現在残っていなく、『道具屋おかめ与兵衛歌祭文』しかないのでこの作品との比較等によって、『卯月の紅葉』 の虚構性を考えた。『卯月の紅葉』は虚構の構成によっている。登場人物を多くし内容を複雑化し、相続の問題等で悲劇の葛藤を構成した。登場人物はそれぞれ個性的な実存的な人物である。蔵入り等幾つかの独自の場を構成し、その場での人物を表現した。なお、場の構成においては演劇性を考えている。
- 1998-12-10
著者
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