近世文化成立の文化的諸条件(第2部)
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概要
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近世の文化の特色は日本文化史上初めて国民大衆の文化が生まれたことである。勿論支配者階級の文化もあったが、文化の中心は被支配者階級の文化であった。この文化の誕生・展開は商業資本主義の発生・展開と密接に関係している。資本主義は個人の自由を根底に持っている。近世の文化は商業資本主義の精神から生まれる。商業資本主義は全国統一的貨幣制度によって飛躍的成長・発展していった。従って近世文化の誕生の第一の条件は統一的貨幣制度である。第二は寺子屋を中心にした学校教育である。第三は出版技術の確立である。これ等はいずれも文化的条件と言い得るものである。商業資本主義の精神は日本の過去の伝統に捉われる事なく、現実的処世観から生まれたもので、純粋さ、清新さを持っていた。この精神を持った者が教育され読み書きできるようになる。この者達に文芸性豊かな日本の古典が提供された。なお指導者は古典の注釈書を刊行してその指導に当った。更に出版技術の発展に伴って、多数の当時の現代の文化的な書籍が刊行された。古典文芸・その注釈書、更に当時代文芸・啓蒙教訓吾が大衆に商品として提供されたのである。ここから国民大衆の文化が生まれたのである。
- 山梨英和大学の論文
- 1996-12-10
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