『心中宵庚申』の主題
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概要
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『心中宵庚申』の主題は中之巻・下之巻に表現されている。中之巻は平石衛門の家で、平右衛門の父親としての我が娘を思う諦観と意地更に願いが入り混じった複雑な親心を巧みに書いている。半兵衛は養父母の孝行・義理に自害しようとするが、ちよとの夫婦愛に生きようとする。中之巻の半兵衛ちよの夫婦の愛は下之巻において高められていく。下之巻は八百屋伊右衛門の家であり、姑・半兵衛・ちよの関係が語られている。姑とちよとは性格が違っており、理由なしに合わない。近松は姑と嫁ちよとの人間的本質性を問題にしている。半兵衛は姑に対して孝行するか、ちよと離婚するか姑に責められる。半兵衛はちよと離婚すると言う。しかし半兵衛はちよを愛しているので庚申の夜心中するのである。半兵衛は時代のモラルに生きようとするが、それ以上に愛に生きようとするのであり、愛の死が主題である。背後に仏教の信仰があり、封建制度に対する抗議がある。
- 山梨英和大学の論文
- 1994-12-10
著者
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