女子の体型と被服構成に関する研究(第4報) : 体幹についての研究
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概要
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女子の体型に適合する合理的で着やすい服を得るための基礎資料として体型を研究し,第1報〜第3報までに報告したデーターを用いて,今回は体型を形として把握しようと,第7頚椎から細腰腋点までの長さ(背丈)を基準とし,体幹における長径,厚径,幅径,周径各々6項目づつの計24項目の比率を求めて検討を行なった.1.背丈に対する比率の大きさによる検討(平均値)長径,厚径,幅径のすべての部位と,周径の第7頚椎を加えた19項目は,基準である背丈よりも小さいという結果であった.(図2・4・6・8)これを割合によって大きいものから順に示すと,幅径における肩幅が1弱となり基準である背丈とほぼ同じ幅となり最も大きい.6/7に近い大きさのものは,幅径における殿部が6.1/7,腹部が5.7/7で,幅径の2項目で長径,厚径にはなかった.5/7に近い大きさのものは,幅径における乳頭が5.3/7,長径における体節下部丈の4.8/7の2項目で,厚径にはなかった.4/7に近い大きさのものは,厚径に最も多く殿部の4.1/7,乳頭の3.9/7,腹部の3.8/7,肩甲骨の3.7/7と順に少しづつ小さくなり,幅径では細腰が4.3/7,長径では肩甲骨が4/7となり,この分類法の中では最も多く6項目が含まれていた.3/7に近い大きさのものは,厚径における細腰の3.1/7と,長径における乳頭の3,1/7の2項目で,幅径にはなかった.2/7に近い大きさのものは,幅径におる第7頚椎の2.2/7と,厚径における第7頚椎の1.9/7の2項目で,長径にはなかった. 1/7に近い大きさのものは,長径における頚窩の0.9/7の1項目であった.なお長径における殿部は背丈の約1/2で,腹部は1/4強であった.周径における背丈に対する比率は,第7頚椎の約0.9倍と小さくなるのを除いた,5項目はすべて背丈を大きく上まわった.これを大きいものから倍率によって順に示すと殿部(腰囲)が背丈の約2.4倍となり,次いで乳頭(胸囲)の約2.3倍,肩先の約2.2倍,腹部の約2.2倍とつづき,細腰つまり胴囲は約1.7倍と小さかった.2.背丈に対する比率による項目別検討 背丈に対する比率を平均値で各項目別にまとめてみると,第7頚椎は厚径が背丈に対して1.9/7であり,幅径が2.2/7となり厚径よりも幅径の方がやや大きい.周径は6.4/7となりこれは背丈の約0.9倍にあたる.肩甲骨においては,長径が背丈の4/7となり,厚経は3.7/7と長径よりやや小さい.乳頭においては,長径は背丈の3.1/7となり,厚径は3.9/7 , 幅径は5.3/7となり,周径は背丈の約2.3倍であった.細腰においては,厚径は背丈の3.1/7となり,幅径は4.3/7 , 周径は背丈の約1.7倍であった.腹部においては,長径は背丈の1/4よりやや長く,厚径が3.8/7, 幅径は5.7/7, 周経は背丈の約2.2倍であった.殿部においては,長径は背丈の1/2よりやや長く,厚径は4.1/7, 幅径は6.1/7, 周径は背丈の約2.4倍となり厚径,幅径,周径は6項目中最も大きい.上記した背丈に対する割合を用いれば体型の略図を容易に描く事が出き体型を数字ではなく,形として把握しやすくなり,更に種々の人体プロポーシヨンとの比較検討を行なう事によって日本の若年女子のプロポーションを理解させやすくなる.又7分割の比率表を作成する事により各自の体型を容易に図式化する事も可能となり,体型別デザイン演習等に効果を上げる事が出来るであろう.3.ばらつきの検討 背丈に対する比率と寸法におけるそれぞれのばらつきを比較検討するため標準偏差/平均値×100により平均値・標準偏差指数を求めた.(表5・6)背丈に対する比率の平均値・標準偏差指数(表5)において大きくばらつくのは長径の下半身各長径で10%を上まわり,次いで厚径のグループが大きく,周径がそれに続き幅径においては,第7頚椎をのぞく項目が最も小さい傾向であった.寸法の平均値・標準偏差指数(表6)においても,比率の場合と同じ傾向であった.平均値・標準偏差指数の背丈に対する比率と寸法とを比較すると長径においては,体幹下部をのぞく5項目は比率の指数が小さく,体型分類を行なう場合,寸法で行なうより容易になると考えられる.しかし他の厚径,幅径,周径においてはすべて比率の指数が大きい結果となり,寸法によって分類するよりも更に複雑となり,体型分類は寸法の方が好ましいのではないかと思われる.
- 名古屋女子大学の論文
- 1973-03-15
著者
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