女子の体型と被服構成に関する研究(第3報) : 体幹についての研究
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概要
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被服構成における作図寸法の基準化を計るための資料を得たいと考え,体幹各位置の周径,幅径,厚径,長径,角度,体重の相関関係について1,142項目の検定を行なった。その結果1%の危険率で高度に有意であったのは388項目であり,5%の危険率で有意であった112項目と合わせて500項目となり,全体の44%に相関関係が認められた。1.相関関係 1)周径,幅径,厚径,長径についての相関関係 (1) 体幹各位置の周径相互の関係について107項目の検定を行なった結果71項目に有意差が認められた。なかでも頚付根点,乳頭点,細腰腋点,腹部前突点,殿部後突点など被服構成上最も重要な位置の周径がそれぞれ高度な相関係数を示し,本研究を進める上に好ましい結果を得ることができた。幅径の相関関係については128項目の検定中75項目が有意であり,厚径については33項目の検定中29項目が有意であった。また長径の場合は129項目の検定中82項目に有意差が認められ,周径の場合と同様に被服構成上重要要素である長径が高度に有意差を示したことは好ましいことである。以上周径は周径どおしというように同一項目間の相関関係は1部を除いてはほとんど高度に有意の傾向が認められた。(2) 周径と幅径との相関関係は56項目の検定中51項目に有意差が認められ,周径と厚径との相関関係は56項目の検定中47項目が有意であり,幅径の場合と同様に高度な相関関係がみられ,例えば人体写真における幅径によって周径を算出し得る妥当性(シルエッターによる体型計測)を裏づけるものと思われる。(3) 長径と周径との場合は63項目の検定中22項目が有意であり,長径と幅径と場合は32項目の検定中9項目のみが有意であった。特に被服との関係において重要な乳頭,細腰,殿部等の周径,および幅径と長径との相関関係はみられなかった。しかし肩先点,第7頚椎点は有意の傾向がみられた。長径と厚径との場合は32項目の検定中,有意であったのは1項目のみであり,ほとんど相関関係は認められなかった。幅径と厚径との場合は56項目の検定中,25項目が有意であった。以上体幹各位置,各項目の相関関係は,周径と幅径および厚径との場合は高度に有意差がみられたが,周径と長径との相関度は低い傾向であった。このことは体型分類および被服寸法の基準化を困難にするものと考えられる。1)体重と角度に関する相関関係 体重と長径,幅径,厚径との相関関係はほとんど全項目が有意であったが,長径との場合は,10項目中4項目のみが有意であり,また角度との場合は2項目にやや有意差がみられたにすぎなかった。2.体型分類 体型分類にあたっては先に述べたように周径と長径との相関度が低いために総合的に分類することは困難であるから各項目別に分類を試み,更にその位置別の分類記号を組み合わせて体型分類を行なった。1)周径による体型分類 体幹を上体,下体に分けて分類を行なったが,上体では肩先,乳頭,細腰腋の3つの位置,下体では細腰腋,腹部前突,殿部後突の各位置の組み合わせとした。上体では1分類に含まれる人数が2名を越えるものでは8種類となり,更に1名のみという特色を持つ体型はその他の中に含めて7種類となった。下体では4種類となり上体に比べて好ましい結果が得られた。2)幅径による体型分類 周径の場合と同じ組み合わせによって行なったが,体幹上体では8種類となり,その他は2種類であった。また体幹下体では7種類と4種類にわけられた。3)厚径による体型分類 体節上幹の厚径については周径の場合の肩先点に変えて肩甲骨点を加えたが,5種類とその他が7種類に分けられた。また体幹下体の場合は8種類に分けられ,上体の場合より下体の方が複雑な分類となった。4)長径による体型分類 長径による分類は頭頂〜頚椎点,体幹,股下高の3つの長径の組み合わせとしたが,9種類とその他が10種類に分類され,また身体の上半身と下半身の2つの長径の組み合わせでは5種類に分類された。以上のように体型分類を試みた結果,女子の体型がいかに複雑であるかを知ることができたが,この後これらの資料をもとにして,体型分類の方法については更に研究を進めたいと考えている。終りに本研究に被験者として協力された服飾専攻の学生に感謝の意を表する。
- 名古屋女子大学の論文
- 1973-03-15
著者
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