短期大学における被服構成および実習の指導法について(第3報) : 側面体シルエットの分類(1)
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概要
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被服デザインの,体型別指導を行なう時,姿勢を含めた側面体型図を描くための,良い資料は少ない。そこで,本学服飾専攻1年次の学生,100名のシルエッタ-写真によって,側面体型の,分布の状態を調査し,実態を把握した上で,その分類を行なった。1.計測部位(図1) 後面は肩甲骨後突点,前面は乳頭点と接する垂直線を,基準線と定めた。その基準線から後面は,頚椎点,胴囲後縁,殿部後突点まで,前面は,頚窩点,胴囲前線,腹部前突点までの寸法を計り,その基準線からの,出入りの寸法を用いて,形態と,姿勢判定の資料とした。2.分布の実態(表1,図2) 分布の広がりは,100名の複合図(図2)でもわかるように,かなりの幅をもち,最も基準線から内側に分布するのは,頚寓(x^^^-=8.3cm)で,頚椎(-5.4cm),胴囲後縁(-4.3cm).胴囲前縁(-1.7cm)の順に,序々に基準線に近ずき,腹部(0.2cm),殿部(0.9cm)は,基準線をほぼ中央に,内外に分布している。標準偏差は,殿部が,1.413cmと最も大きく,腹部が1.332cmで,胴囲後縁は1.046cmと最も少なかった。複合図で姿勢を見てみると,胴囲前線と腹部が,基準線(乳頭点)より,前へ出る人と,殿部が,基準線(肩甲骨後突点)より,内に入る人があり,後面は腰を落し,前面はおなかを出した,いずれもあまり良くない姿勢の人が,かなり含まれていることが,明らかとなった。3.相関係数について(表2) 計測部位,相互の関係については,基準点から下の,胴部,腰部の4部位は,周径の大小や,偏平率との関係は,認められず,4部位相互の関係は,深い事が認められ,今回設定した測定方法は,姿勢を加えた側面体型を,判定する資料として,有効であると考えられる。4.後面,前面別3部位の組み合わせ(図3・4) 各計測部位を,x^^^-±1Sを用いて3分類し,後面3部位,前面3部位ずつを組み合わせて,後面,前面別にシルエットを分類した。27組の組み合わせ中,M・M・Mが,他の組み合わせに比べて,多く出現し,後面34%,前面39%の出現率を示した。次いで多い,10〜5%の,出現率を示す組み合わせは,後面が5組で,この中に,全体の40%が含まれ,前面が6組で,この中に,45%が含まれている。5.側面体の分類(6部位の組み合わせ)(表3) 後面3部位,前面3部位を組み合わせて,側面体型として分類すると,729組の組み合わせとなり,そのうち55組に出現する。最も多い組み合わせM・M・M・M・M・Mでも,6部位の組み合わせともなると,17%と少ない。次いで6〜2%の16組に45%が出現し,残る38%は38組に散布した。胴囲前緑と後緑に,LとSあるいは,SとLが組み合わされる体型は,姿勢を矯正すれば,標準的な側面シルエットになり得る可能性を,合んでおり,今回の資料は,被服デザインの,体型別指導のデーターにすると,共に,各自の姿勢を認識させ,着装の基本である,美しい姿勢作りの,資料としても活用出来ると考えている。しかし,6部位の組み合わせでは,かなり複雑になるため,上半身の胸部,背部の形態と,下半身の胴部,腰部の形態に分けて,整理してみた。6.上半身の分類(前・後別と4部位の組み合わせ)(表4・5,図5) 後面の頚椎と胴囲後緑,前面の頚窩と胴囲前緑の,2部位ずつを組み合わせて,背部,胸部別に分類した。最も多いのがM・Mで,後面は38%,前面は43%の出現率を示し,その他は,いずれか一方がMとの組み合わせに多く出現していた。上半身4部位の組み合わせは,81組のうち,35組に出現した。最も多い組み合わせは,M・M・M・Mの23%,4部位のうち3部位までがMで,あとの1部位がLかSにずれる組み合わせは,7組で23%,2部位がMで,2部位が変化する組み合わせは,10組で30%の出現率であった。(表5)代表的な形態を,出現率のあった組み合わせで,選ぶならば,M・L・M・Sの背部の凸量が少なく,胸部の大きい形態と,M・M・M・Mの標準形態と,M・S・M・Lの胴部を前出させる,3つの形態であろう。なお,胴部の形態としては,M・L・M・Lのずん胴と,M・M・M・Sのひきしまった形態。頚部の形態としては,L・S・S・Mの後傾,S・M・L・Mの前傾形態が考えられる。7.下半身の分類(前・後別と4部位の組み合わせ)(表6・7,図6) 後面の胴囲後緑と殿部,前面の胴囲前緑と腹部の2部位を組み合わせ,下半身を後面,前面別に分類した。最も多いのは,M・Mで,後面は51%,前面は54%と,上半身に比べ多く出現する。次いで多いのは,後面,前面共にL・L,L・Mあるいは,S・S,S・Mの4組で,いずれも10%前後が出現する。胴囲後緑と殿部(0. 658),胴囲前縁と腹部(0.884)相互の,関係が高いため,以上5組の組み合わせの中に,後面は92%,前面は94%と,全員に近い人が含まれた。下半身4部位の組み合わせは,81組のうち25組に出現し,最も多く表われるのは,M・M・M・Mで31%,次いで多い組み合わせは,後面,前面共にM・Mと組み合わされる組み合わせで,約半数(後面は47%,前面は52%)の人が含まれた。なお,4部位のうち3部位がMで,あとの1部位がLかSにずれる組み合わせは,5組で17%,2部位がMで,あとの2部位が変化する組み合わせは,6組で32%,1部位がMで,3部位が変化する組み合わせは,5組で10%,Mが1部位もない,L・L・S・Sに3%の出現率があった(表7)。なお,代表的な形態を,出現率のあった組み合わせで,選ぶならば,L・L・S・Sの腰を引いて胸を出す形態と,M・M・M・Mの標準形態と,S・M・L・Mの胴部を前出させる,3つの形態であろう。なお,胴部に特徴のある形態としては,L・L・L・Mのずん胴で,前胴部の前出する形態と,胴部がひきしまって,前胴部のくびれの大きいL・M・S・M,腰部に特徴のある形態としては,腰部厚が厚く,後胴部のくびれの大きいS・M・L・Lと,腰部厚が薄く,後胴部のくびれの少ないM・S・M・Mの形態が考えられる。
- 1975-03-15
著者
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