生きているスギ樹幹内での抽出成分の蓄積と分布
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概要
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針葉樹辺材の生理機能を特性化するために,生きているスギ(Cryptomeria japonica D. Don,スギ科)樹幹における抽出成分の蓄積と分布について定量的に調べた。生きている辺材全域における主要フェノール性抽出成分の分布を示した。伐倒直後の内部辺材だけでagatharesinol,sequirin C,sugiresinol,hydroxysugiresinol及びcryotoresinolの存在を確認した。この内部辺材におけるフェノール性抽出成分の絶対量は少なかったが,その顔ぶれは同じ起源の心材におけるそれと似ていた。同様に,新鮮な辺材においてsucrose,glucose,arabinose及びpinitolの,また,同じ起源の心材においてglucose,mannose,arabinose,pinitol及びsequovitolの存在をそれぞれ確認した。更に,生きている辺材と半乾燥状態の辺材とでフェノールと糖成分の蓄積と分布を比較した。sucrose,glucose及びmannoseは時間の経過につれて辺材の全域において減少した。他方,seguirin Cを除く,4種のノルリグナン,agatharesinol,sugiresinol,hydroxysugiresinol及びcryotoresinolは辺材の全域,特にその内部,しかも,心材の存在しないその上方で著しく増加した。従って,スギの辺材にはノルリグナン生合成能力が常に内在し,しかも,それは辺材の部位によって異なると思われた。
- 岐阜大学の論文
- 1988-12-25
著者
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