ヒノキのフェノール性心材成分と心材色
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概要
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ヒノキ(Chamaecyparis obtusa, Cupresaseae)の心材色,特に紅色に注目し,それと心材成分の関係について実験考察した。ヒノキ心材のメタノール抽出物についてフェノール成分を検索し,既知のferruginol,hinokiol,hinokione,hinokiresinol,hinokininに加え,新たにsawaranin,cryptoresinol,3-methoxyhinokiresinol(推定)およびisocryptoresinol(推定)を単離し,それぞれ同定または推定した。このうち,4種のノルリグナン,hinokiresinol,3-methoxyhinokiresinol,cryptoresinolおよびisocryptoresinolは有色物質で,ヒノキ心材色発現に直接関係している成分と推定された。また,他のフェノール類は間接的に心材色に関係する成分であると思われた。上記9成分のうち,5種の既知成分が心材フェノール成分の主要部分をなし,4種の新成分は微量成分であることが判明した。量的に多い5成分について,全国9産地から集めたヒノキ心材を分析し,その含有量と肉眼および色彩学的判定基準とを対比させ,また5成分生成に関する生合成上の知見を加味して心材色を考察した。その結果,hinokiresinol含有量はヒノキ心材の紅色と関係があった。hinokinin含有量は試料間でほぼ一定であった。また,他の成分は無作為であった。ヒノキ心材の紅色発現はhinokiresinol生合成系に関する遺伝的要因によると推定した。
- 岐阜大学の論文
- 1987-12-25
著者
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