生きたスギ樹幹内の水分布と狭水路
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概要
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心材形成に関する基礎的知見を得るために,生きているスギ樹幹内での水分布とその季節的変化を調べ,また,樹幹中の樹放流を色素でマーキングして調べた。水分布のダイヤグラムによると,250%以上の含水率を有するよく湿った領域が辺材中に存在することが追認できた。また,それは季節によって水平方向に移動していることが示唆された。すなわち,春から夏にかけてその湿った領域は内部辺材に認められ,秋から冬にかけては外部辺材に移動するようであった。酸性フクシンでモニターすることで,生きている樹幹内で,樹高によって樹放流相の違いのあることが確かめられた。辺材と心材が共存する領域で,特異的な水供給系,狭水路の存在が白線帯外方に確認された。辺材だけからなる上方では水は幹全体を使って上方に供給されていた。この狭水路は春から夏にかけてその働きが高くなる傾向にあり,秋から冬にかけては低くなる傾向にあった。また,この狭水路が心材形成に関係している可能性を指摘した。
- 岐阜大学の論文
- 1985-12-15
著者
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