てんぐ巣病に罹ったソメイヨシノの抽出成分
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概要
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てんぐ巣病に罹ったソメイヨシノ(Prunus yedoensis)の枝の抽出成分について実験を行なった。予備的な検討において,罹病枝抽出物のうち,エチルエーテル可溶部が健全枝のそれと比べて大きく差異のあることを予知したので,この可溶部の成分を検索した。8種の成分を罹病部の枝及び小枝から単離し,機器分析によって,それらをgenkwanin,sakuranetin,2',6',4-trihydroxy-4'-methoxychalcone,quercetin,naringenin,eriodictyol,aromadendrin及びtaxifolinと固定した。なお,2', 6',4-trihydroxy-4'-methoxychalconeは患部特有の成分であると推定した。次に,罹病枝の病巣部からの距離とそのエーテル可溶部成分との関係を知るために実験を行なった。病巣中心部から10cm間隔で切り取った6個の罹病枝片,1個の叢生枝及び対象としての1個の健全校片の都合8試料を得た。試料を冷メタノール抽出後,エーテル可溶部を分け取り,GLC分析した。記録紙上の17主要成分について,試料間で質と量的な差を調べた。成分の相対的な含有量は病巣部からの距離によって,次の4グループ,(1)2',6,4-trihydroxy-4'-methoxychalconeのように病巣部に局在しているもの,(2)aromadendrin,genkwanin,taxiforin等のように病巣部周辺で顕著な極大を示すもの,(3)病巣部で極小を示すもの,及び(4)病巣部からの距離に対して規則性のないものに分けることができた。
- 岐阜大学の論文
- 1984-12-15
著者
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