造血器腫瘍患者を対象とする心理教育の集団過程で生じた現象
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概要
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[目的]本研究は,外来通院中の造血器腫瘍患者を対象とした心理教育を実施し,そのグループ・プロセスで生じる様々な現象について分析した,質的記述研究である。[方法]実施した心理教育は,本研究者が作成した1クール5セッション,週1回,1回90分,前半ディスカッション,後半情報提供で構成されている。グループの参加者は,都内総合病院の血液内科に通院中で,病名告知をされた18歳以上の造血器腫瘍患者と,そのグループを運営するスタッフ(医師,看護者)である。本研究者はグループ・リーダーとしての役割を持ち,参加観察した。また,グループで話し合われた内容は参加者の同意の上,カセットテープに録音し逐語録で起こし,内容分析を行った。実施期間は2000年7月から11月。[結果・考察]1グループ5名の悪性リンパ腫患者を対象とした心理教育を2クール実施した。両グループの過程で,活発な参加者間の相互作用が認められ,集団の機能が治療的に働いていた。また,セッション1,2の初期では参加者の[医師への依存]がみられ,さらにセッション2,3の中期では[グループの中にサブグループを形成する]動きがみられた。その後は,中期から後斯に渡って,スタッフが参加者の気持ちに配慮し介入したグループは凝集性が高まり,集団の機能が発揮された。しかし,参加者の気持ちに配慮ができず経過したグループは,脱落者や欠席者を生み,凝集性の高まりにかけていた。そのため,スタッフは参加者の気持ちに焦点をあて,グループで生じる現象の意味をスタッフ間で検討しながらグループを進めていくことが重要である。
著者
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