<ミジメ>と<ホコリ>のはざ間で生きる人々 : 山谷でのフィールドワークから(第7回聖路加看護学会学術大会)
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概要
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バブル崩壊から始まった不況により、都市の公園や路上にはホームレス(路上生活者)が増え、他の先進諸国と同様に社会問題として認識されつつある。彼らに対する世間の目は厳しく、「働かずして食っている」「汚い、不潔」といわれる。彼らに対する否定的なイメージは簡単には払拭できず、私達看護職者は、病院などで偏見による誤ったイメージで彼らを扱ってしまう危険性がある。本論文の目的は、東京の山谷地区に住むホームレスの日々の生活を報告することである。彼らの事実を知ることで、少しでも彼らに対する偏見を修正できたらと願っている。私達は山友会という、17年間山谷の人々に衣食を中心に様々なサービスを提供している民間団体でフィールドワークを行い、活動に参加しながらフィールドノートを作成した。山谷地域は江戸時代から貧民層、日雇労場者、***婦等が住む街であった。1970年から80年にかけて、東京一の日雇労働市場として建設関係の労働者の供給源となった。しかし、現在では求人数は減少し、山谷に暮らす人々は今や殆どが高齢の単身男性である。路上にダンボールをひき毛布をかけて寝ているホームレスは目に付く。また、多くのホームレスがブルーテントと呼ばれる青いビニールシートで覆ったテントで暮らしている。彼らはわずかな現金を得るため、空き缶等を集めて売る。お金が得られなければ、生き残るために「ごみ箱をあさる」ことになる。プライドを犠牲にして生きる道を選ぶ、<ミジメ>へ落ちる。人間としてのくホコリ〉を守り<ミジメ>へ落ちる事を拒否する者もいる。それは生への戦略の放棄、すなわち死に続く道への選択である。本質は何か、事実はどうであるか、物事を探求していこうという姿勢が偏見を軽減し、彼らの事実を知ることによって、より慎重な言動をすることができるようになるであろう。
- 聖路加看護大学の論文
- 2002-06-30
著者
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