伝統的技法「金銷」の表面における色彩と光反射特性におよぼす地金の表面粗さおよび金銷温度の影響

概要

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金メッキの伝統的技法である金銅の色彩と光反射におよぼす地金の表面粗さおよび熱処理条件との関係を白色光線(可視光線)による反射光の分光光度分析を行い検討した。得られた結果は次のとおりである。(1)肉眼で見える光は可視光と呼ばれ,物体に色がついて見えるのはその波長の光のみを反射することに起因する。可視光には三原色がありこれら全ての波長の光を反射するとそれは白色として見え,この場合が銀に相当する。また赤と緑の波長の光を反射するとそれは青紫の補色である黄色として見え,金の場合がこれに相当する。銅板状では,赤色の光を反射し,その他の光は吸収されるのでその色は赤色を呈する。このような可視光線と色彩との関係を分光分析によって確認した。(2)473Kで焼き付けたものは水銀が蒸発しきらず金メッキ層中に水銀が合金として残ってしまうため金銷後の表面は白っぽい。また表面粗さも大きいため光の反射強度は小さい。(3)573Kで焼き付けたものは金銷後に美麗な金色を呈し,表面粗さも比較的小さいため光の反射強度も大きい。(4)773Kで焼き付けたものは表面の厚みにムラができ,薄いところでは金と地の銅との合金化が進み,いわゆる「吸い込み」現象が観察された。高温加熱による汚れの付着や銅地金表面の酸化などが表面を黒っぽくさせ,その粗さも著しく大きくなった。

伝統的技法「金銷」の表面における色彩と光反射特性におよぼす地金の表面粗さおよび金銷温度の影響

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