わが国株式市場の連結資金収支表に関する学習習熟度

概要

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連結キャッシュフロー指標は,情報源として(1)連結収支表から直接計算することもでき,また,(2)比較連結貸借対照表と連結損益計算書を調整することでも推定できる。そこで本研究は,2つの情報源からそれぞれ代表的な連結キャッシュフロー指標値を計算し,それらの株式投資利回りへの影響度を測定することにより,これまで検討されたことがなかった連結資金収支表の株式市場における認知度,株式市場への反映を調査しようとするものである。分析手順は以下の通り。被説明変数としての残差リターンの推定には産業効果モデルを用い,また説明変数としての期待外会計情報は,ランダム・ウォークモデルを仮定した上で,連結営業キャッシュフロー,連結投資キャッシュフロー,連結財務キャッシュフローの3つの指標を用いる。この結果,わが国の株式市場において,連結営業キャッシュフロー指標については,株式市場は資金収支表データヘの学習度が低く,貸借対照表等から推定した情報を重視するが,他の2つの指標については,資金収支表の測定精度が高く,連結資金収支表情報の株式市場への影響が大きいといえる。
1995-12-25