減価償却方法選択要因としての経営目標 : 「日本企業の経営環境と決算行動に関する意識調査」の分析より

概要

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本研究では,「日本企業の経営環境と決算行動に関する意識調査」結果に現れた日本企業の環境変化の影響の中から経営目標に注目し,会計方針・会計手続の選択の中で,製造業企業においては最も利益に対する影響の大きい減価償却方法の選択要因としてどのようにはたらいているかを分析している。まず,調査結果に顕著にあらわれた株主資本利益率(ROE)が経営目標として挙げられる理由を株主構成などから実証し,次にROEをパラメータに組み込んだ減価償却方法の選択基準モデルを作成した。後半ではROEによる企業ランキングが日本で一般的になった1992年度以降の連結財務諸表と調査データから,実際の企業が採用した減価償却方法を選択基準モデルと比較した。その結果,ROEを経営目標にしている企業は,ROEを経営目標にしていない企業より,ROEと配当性向を維持しながら金融機関に頼らなくとも稼いだキャッシュフローで投資できる減価償却方法を適用する傾向にあることがわかった。ROEを経営目標にしていない企業は,減価償却方法選択に限れば,より金融機関に頼らざるを得ないような傾向を持った意思決定で,強いて言うなら,株主より銀行に向いた決算をおこなう傾向があるということがあきらかになった。
1999-02-25

著者

高橋正子
慶應義塾大学

減価償却方法選択要因としての経営目標 : 「日本企業の経営環境と決算行動に関する意識調査」の分析より

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