否定形暗示文の作用からみた感情・感覚・行動の調節について
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概要
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心理療法の面接場面において,クライエントは否定文を多用すると言われている。同じ意味内容をあらわす場合になぜ肯定文を用いずに否定文を用いているのだろうか。否定文には肯定文にはみられない特徴が存在していると考えられる。不登校の子どもが「学校に行かない」という場合と,「学校に行けない」という場合には心理的意味が異なると考えられる。しかし否定文といっても様々な種類がある。そこで本研究では,2種類の否定文をとりあげ,その影響を比較する。被験者は大学生及び大学院生16名(男性6名,女性10名)であった。平均年齢は23.88歳(SD=3.26)であった。被験者は実験者によりリラクセイションが施行された後,ベースラインを測定された。その後,「あなたの身体は動かない」という否定形暗示文と「あなたの身体は動けない」という否定形暗示文が与えられ,その影響が測定された。身体動揺に関するチェックリスト評定,多面的感情状態尺度の評定が求められた。さらに,野原イメージを浮かべるように求められ,その内容が報告された。結果としては,「動かない」という否定形暗示文が与えられた場合は,身体の動きは減少し,感情面の活動にシフトするという調節の仕方をしていることが示された。「動けない」という否定形暗示文が繰り返された場合は,禁止的,抑制的に作用するということが示された。The purpose of this study was to examine the effects of two kinds of negative-sentence suggestions. For example, a high school boy with a school attendance problem complained, "I don't go to high school" or "I can't go to high school." However, these two statements have different meanings. This study investigated the effects of negative-sentence suggestions in detail. A total of 16 subjects (6 males and 10 females, mean age=23.88, SD=3.26) participated in the experiment. Subjects were given suggestions related to either "do not" type suggestion or "can not" type suggestion. An example of a "do not" type suggestion is "Your body does not move, now,"; an example of a "can not" type suggestion is "Your body can not move, now." Subjects were requested to complete the multiple mood scale (Terasaki, Koga, Kishimoto, 1991) and an imagery checklist. The subjects were asked to imagine a field. Imagery contents were analyzed by word analysis (Monzen,1996) . The results showed that a "do not" type suggestion was a good control for sensation, but that a "can not" type suggestion had an inhibitory effect. These results suggest that the two kinds of negative-sentence suggestions ("do not" type suggestion and "can not" type suggestion) had different detailed effects.
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