知的障害者における選択機会の効果に関わる文献的考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
知的障害者の学習,作業,余暇などの活動場面において,活動や物品の選択機会を提供する支援は,対象者のパフォーマンスを促進したり,改善するという報告がなされている。本稿では,選択機会を提供する支援の効果を検証した実験的研究に焦点を当てて,1969年から2001年に報告された26編の文献を展望した。選択機会を提供する支援が作用するパフォーマンスの内容,パフォーマンスの促進・改善に関わる要因を調べた。そして,選択機会を提供する支援を教育実践にどう応用するのか,今後の研究課題について考察した。教育実践への応用の視点として,選択機会を提供する支援が対象者にとって好みの低い活動や物品に従事する事態で有効であること,今後の研究課題として,選択機会の提供による支援が作用する対象者のパフォーマンスを特定化すること,選択行動それ自体の要因の解明が必要であること,対象者の好みにもとづいた選択行動の生起と選択機会の効果との関連の検討が必要であることを示唆した。Choice-making skills and opportunities are seen to reflect the quality of one's lifestyle in individuals with intellectual disabilities. The provision of choice-making opportunities among activities or items can serve to improve task engagement behaviors, problem behaviors, correct responses, etc. The present article reviews 26 articles in the literature published between 1969 and 2001 concerning the effects of choice-making on performance. The subject and choice-making conditions applying to interventions, the positive and negative effects of choice-making on performance, and the factors related to the effects were examined. Four factors were suggested: preference for an item, the act of choice-making itself, preference level for an item, subject's degree of intellectual disabilities. From the standpoint of practice of application, the choice-making opportunity interventions is effective by a situation that we must choose one among several lower preference tasks. The focus of future research should consider (1) specification of performance that choice-making opportunity acts on, (2) examination of the mechanisms by which the act of choice-making itself has produced the positive effects, and (3) the relation of the subject's choice-making according to preference and the effects of choice-making opportunity.
- 上越教育大学の論文
著者
関連論文
- 知的障害児の個別指導の在り方に関する検討--課題準備行動が逸脱行動の生起に及ぼす効果から
- 自閉症児の学校生活場面における報告言語行動と聞き手への接近行動の形成 : シミュレーション指導場面の役割
- 特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり(3)(自主シンポジウム8,日本特殊教育学会第47回大会シンポジウム報告)
- 授業場面におけるPositive Behavior Support(自主企画シンポジウムIV)
- 小集団指導における知的障害児童の課題遂行を高める先行条件の検討 : 物理的環境と係活動の設定を中心に
- 特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり(2)(自主シンポジウム49,日本特殊教育学会第46回大会シンポジウム報告)
- 知的障害児の個別指導における最適な試行間間隔の設定 : 課題遂行反応と逸脱反応に及ぼす効果から
- P-46 知的障害児の課題遂行反応に試行間の遅延間隔が及ぼす効果(ポスター発表2,第23回年次大会)
- 家庭における知的障害者の選択決定の機会についての検討
- P-14 知的障害児の個別指導における試行提示間隔が課題遂行反応に及ぼす効果(ポスター発表1)
- ダウン症児に対する補助具を用いた家庭における定時排泄行動の形成
- 知的障害児における課題従事順序の選択が課題従事行動に及ぼす効果
- 障害児臨床実習の場における指導者の指導過程の分析 : 臨床的技量の向上に向けて
- 知的障害児における課題の選択が課題従車行動に及ぼす効果 : 課題に対する好みのレベルからの検討
- 一自閉症児における課題の選択が課題従事行動に与える効果
- 特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり(1)(自主シンポジウム27,日本特殊教育学会第45回大会シンポジウム報告)
- 知的障害児の個別指導における試行間間隔が試行遂行反応に及ぼす効果
- 課題の選択が知的障害児の課題従事行動に及ぼす効果 : 課題に対する好みのレベルからの検討
- 学校卒業後における障害のある青年の余暇支援の意義と課題 : 上越地域における大学の余暇支援の実践から
- 知的障害児における家族と連携したプリント教材と指導の実際
- ダウン症女児における「算数」「国語」を組み合せた教材と指導の実際
- 上越青年の休日を楽しむ会「スパゲティ教室」の活動について
- 教材・教具 一知的障害児における家族と連携したプリント教材と指導の実際
- 知的障害者における選択機会の効果に関わる文献的考察
- 知的障害児の選択機会の提供による課題従事行動の向上
- P4-14 自閉症児の学校生活場面での報告言語行動における聞き手への接近行動(ポスター発表4)
- P1-19 小集団指導における知的障害児の音楽活動への参加促進 : 補助指導者の位置取りと役割(ポスター発表1)
- 知的障害養護学校教員の個別の指導計画作成に対する捉えの構造
- 病弱養護学校教員の個別の指導計画作成に対するとらえの構造
- 知的障害及び情緒障害特殊学級における養護・訓練の「時間の指導」の実施に関わる要因
- 特殊学級担任教員の特性と職務
- 言語通級担当教員の特性と職務満足感
- P1-38 知的障害養護学校の劇指導において児童相互のやりとりを促す手だての検討(ポスター発表1)
- 早期療育事業の新たな役割と今後の課題 : 山田論文(2008)へのコメント
- 早期療育における発達障害児の課題遂行を促進するプログラムと物理的環境設定
- 「上越青年の休日を楽しむ会 : 本人講座」活動の紹介
- 特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり(4) : 小学部・中学部・高等部を超える授業づくりの根幹的配慮とその成果(自主シンポジウム74,日本特殊教育学会第48回大会シンポジウム報告)
- 知的障害児の個別指導の在り方に関する検討 : 課題準備行動が逸脱行動の生起に及ぼす効果から
- 入所施設における他害行動を示す知的障害者の積極的行動支援による活動参加の促進
- D-2 特別支援学級における知的障害児童の自立的な宿題遂行の促進(2) : 授業参加、登校行動への影響(ポスター発表)
- C-5 特別支援学級における知的障害児童の自立的な宿題遂行の促進(1)(ポスター発表)
- 小集団指導における広汎性発達障害児の音楽活動への参加促進と指導者の位置取り
- P2-26 小集団指導における知的障害児の体操課題の遂行促進 : 補助指導者の役割の観点から(ポスター発表II)
- 応用行動分析が授業づくり,学級づくりに貢献できること(公募企画シンポジウム,講演シンポジウム)